互いに1点取られるとダメージが大きいというのがよく分かっていた。失点を恐れてどちらも用心深い試合になり、がっちりした守備で互いに相手の良さを消し合った。その中で得点はやはりセットプレーだった。
さてクロアチアとイングランド、どちらが笑うのか。いよいよ進出国の定まるファイナル、見たくはないのに見てみたい光景がある。 ダイブ。シミュレーションとも呼ぶ。演技で芝の上に吹っ飛び、のたうち回り、反則をかっさらう行為である。 醜悪だ。
日本を倒したベルギーが躍動している。準々決勝ではブラジルを破り4強入り。赤い悪魔の躍進の一端を取材エリアで感じた。190センチ、90キロの“怪人”FWルカク。脅威の体格、スピードをも超える頭脳明晰(めいせき)さに遭遇した。
無念の準々決勝敗退となってからも、ブラジル国内でくすぶりつづけているテーマがある。ネイマールの「転倒」問題だ。 この大会中、ネイマールがいつも以上にオーバーに倒れてファウルをアピールしていると、批判され続けた。
フランス対ベルギーは、勝った方が優勝する可能性が十分にあるだろう。ともにタレントぞろいで、組織的にもしっかりしている似たようなチームだ。 ベルギーは日本戦では守備に気の緩みがあったように見えたが、準々決勝では機能的にプレーしており、状態は充実している。
私の現地観戦最後の試合は、大会を勝ち進むごとに成熟してきたフランスの試合巧者ぶりが際立つ勝利で終わった。ウルグアイは、伝統的な「引いて守ってカウンター」というスタイルだけでなく、今大会は積極的なハイプレスも見せ決勝T1回戦ではポルトガルを撃破。
ブラジルを倒して準決勝進出を決めたベルギー。今大会で私が最も大きな衝撃を受けたのは、攻撃のスピードだった。5−2で勝った1次リーグのチュニジア戦に、その最高の例を見ることができた。 ボールを奪うと、ベルギーの選手たちは迷うことなく前線に上がっていく。
大舞台でこそ、心理的な要因が勝敗を左右する。そこに落とし穴がある。盤石と言われたブラジルのような強豪でも、一つのボタンの掛け違えが思わぬ敗戦につながった。 大きな誤算は2点目だろう。ブラジルは今大会、決勝トーナメント1回戦までの4試合で1失点のみ。
タクシー会社に勤める友人が言った。 「やっぱりW杯はすごい」 なぜそう感じた? しばしば業務で職場を訪れる損保会社の女性社員の口ぐせは「ところで別件なのですが」。それがこうなった。「ところでベッケンバウアーなのですが」
振り子の針が左右に大きく振れた4年間だった。アギーレ元監督、ハリルホジッチ(ハリル)前監督、西野監督と3人の指揮官が生まれた。1994〜1998年(ファルカン元監督→加茂元監督→岡田元監督)の例もあるが、W杯決定後の解任劇は初。
ベルギーとの激闘を終えた翌日、ベースキャンプ地のカザンに戻った最後の取材対応で、25歳の大島が悔しさを押し殺したような表情で大会を振り返った。「得たものはないというくらい、ピッチに立った人とそうでない人の感じる差は大きい」
西野監督が選択したのは経験だった。平均28・3歳の最高齢ジャパン。惨敗した4年前の「思い」を結集して16強入りした。だが、「経験」という「貯蓄」を食いつぶし、「投資」を怠ったとも言える。
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