<戸田和幸 Russia>若い選手が毎試合成長を見せるフランス
私の現地観戦最後の試合は、大会を勝ち進むごとに成熟してきたフランスの試合巧者ぶりが際立つ勝利で終わった。ウルグアイは、伝統的な「引いて守ってカウンター」というスタイルだけでなく、今大会は積極的なハイプレスも見せ決勝T1回戦ではポルトガルを撃破。フランス戦もカンテ、ポグバというキーマンにできるだけボールを触らせない積極的なプレッシングで序盤から主導権を握ることに成功。ただ、この試合にはカバニがいなかった。
ともにワールドクラスのストライカーながら、2トップの連係も異次元の輝きを見せ、ポルトガル戦では40メートルのパス交換、いわゆる「ワンツー」からカバニがヘッドで決めるという離れ業をやってのけた「世界最高の2トップ」。やはりカバニ不在の影響は大きく、積極的な守備でフランスをてこずらせたウルグアイだったが、パートナーを失ったスアレスはシュートゼロに終わった。
一方のフランスも、中盤で誰よりも汗をかいてきたマチュイディが出場停止。中盤の強度低下が心配されたが、トリソがしっかりと穴埋め。相手ゴール前でのこぼれ球に素早く反応し、ファウルを誘発し先制点につながるFKを獲得するなど、黒子に徹した仕事で大きく貢献した。エムバペが大きくクローズアップされているが、この若き才能が思う存分能力を発揮できるよう、サポートしているジルーとグリーズマン、そしてポグバやカンテの存在も見逃してはいけない。
若い選手が多く、W杯の重圧に押しつぶされるのではと心配されたフランスだが毎試合成長し成熟を見せ、終盤には相手をいなす冷静なパスワークも披露。選手としてW杯を制した経験を持つデシャン監督の存在が、選手に冷静さと自信を与えているのは間違いない。 (2002年W杯日本代表MF)
