7月17日

<奥寺康彦の目>躍進チーム ベースに守備

 フランスは試合巧者だった。「シャンパンサッカー」という華麗な表現もあるが、決勝は準決勝のベルギー戦と同じく、いわばリアクションサッカー。クロアチアが主導権を握る中でしっかりした守備から失点を避け、好機があれば速攻を狙う。その意図が十分に感じられた。

 グリーズマンはゴール前で先制点につながるFKを得た。確かに相手が触れて倒れたが、グリーズマンはファウルをもらいにいった。それもサッカーのテクニックの一つだ。フランスの2点目はPK。クロアチアのハンドは故意でないとしても、手に当たらなければボールは枠に向かっていた。主審はそういう判断をしたのかもしれない。

 2−1まではまだ分からないと見ていたが、3点目が入って余裕が出た。4点目はエムバペの素晴らしいシュート。それにしてもこの19歳はスピードがありシュートも打つ。将来はどんな選手になっていくのか。

 3位になったベルギーのように前線に破壊力のある選手もいたが、ベースにあるのはしっかりした守備だ。グリーズマンもジルーも守備に戻った。大会最優秀選手に選ばれたクロアチアのモドリッチも献身的に守備もする。笑顔はなかったが賞に値するプレーを十分に見せてくれた。

 今大会は戦い方がはっきりしているチームが勝ち上がった。1次リーグでドイツに勝ったメキシコも速攻。全員で守り、少ない好機をものにする。そういうチームの守備力が高まってきたと言える。逆に、前線に残って守備をしない選手がいるチームは、そこからほころびが出ていた。

 日本は、ベルギー戦でボールを奪ったら縦に速く攻める狙いで、特に柴崎が良いボールを出していた。攻めきれなかったらサイドから。僕はこの戦い方が今後の日本のベースになると思う。今大会は緊迫した試合が多く、今までにないくらい面白いW杯だった。 (元日本代表FW)

中日新聞 東京新聞

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