7月16日

<藤田俊哉の目>ベルギー 本物だった

 やっぱり、ベルギーのカウンターは鋭かった。これほどきれいにゴールまで持って行けるチームは、ほとんど見たことがない。失点のリスクを減らそうと自陣に引くチームが多かった今大会にあって、レベルの高さが際立った。

 フランスに惜敗した準決勝を含めても、ベルギーが最も苦しんだのは日本戦ではなかったか。そう思えるほど、戦術は確立されていた。GKクルトワが起点となったいくつかの場面では、日本戦の決勝点が思い出された。あれはまぐれではなかった。

 強さを支えたのは豊富な個性。2点目を演出したデブルイネのスルーパスには光るものがあり、E・アザールはドリブル突破からチャンスを量産した。この試合では精彩を欠いたが大会4得点のルカク、中盤のフェライニやシャドリ…。タレントを挙げればきりがない。

 一方でイングランドのエース、ケーンはノーゴールに終わった。1次リーグで5点を取った後、決勝トーナメントでは1回戦のPKによる1点のみ。悔いが残っただろう。本来は優れた両足のキックとヘディングの強さを併せ持つ万能型の選手。失速の大きな要因は、チームがセットプレー以外に得点機を多くつくれなかったことにあった。

 準決勝からイングランドは中2日、ベルギーも中3日という厳しい日程。「勝っても3位」という状況はモチベーションを保つ難しさもある。過去最高の4位を上回るという明確な目標があったベルギー。懸ける思いでも相手を上回っていたことが、ほぼベストの布陣からも見て取れた。

 「黄金世代」の能力を最大限に生かした戦い方を、短期決戦の一つのスタイルとして示したベルギー。意義深い内容ながら、結果としては決勝に進めず3位。W杯を勝つのが、いかに難しいことか。 (元日本代表MF)

中日新聞 東京新聞

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