7月17日

<戸田和幸 Russia>まだまだ伸びる才能あふれる若き集団

 世界一を決める最後の闘いは、決勝トーナメント以降全て延長戦を戦ってきた満身創痍のクロアチアに対し、フランスは強引に試合展開を変えようとするのではなく、攻守に必要な事を徹底して行った。その試合運びの巧さが優勝の要因だ。

 準決勝のベルギー戦同様、決勝でも序盤は相手にペースを握られたが、まずはしっかりと守ることから始めロングボールをジルーに蹴った後の展開から、こぼれ球をグリーズマンが倒されて獲得したFKで先制。無理にパスワークを駆使して敵陣へ進むのではなく、相手が前に出てくるのであれば長いボールを使って中盤を省略し、高さのあるジルーを頼りにこぼれ球を奪い攻撃へとつなげていくというしたたかなゲーム運びが決勝でもモノを言った形だ。

 また、中盤の守備で絶大な貢献を見せてきたカンテを後半途中で交代させるという驚きの采配もあった。イエローカードをもらっていたこともあったのかもしれないが、高さのあるヌゾンジを投入して以降、さらに守備が安定したことからも、デシャン監督の大舞台での経験値の高さから導き出される采配が見事に機能したと言える。

 全ての選手がハイレベル、しかし年齢的にはまだ若い選手も多かったフランスだが、大会を勝ち進む中でチームとして成長し成熟し頂点まで上り詰めた。最強のセンターラインにエムバペのようなスーパースター候補の大活躍もあった。そのエムバペに思う存分プレーをさせたグリーズマンやジルーの貢献、そして中盤で「水を運ぶ」仕事を黙々と行い続けたカンテ、マチュイディ、ポグバの活躍も素晴らしかった。

 まだまだ伸びしろの大きいフランスが、頂点を極めたことで今後どこまで強さを増していくのか。才能あふれた若き集団がさらに成長することは間違いなく、これから新しいフランスの時代がやってくるだろう。

 (2002年W杯日本代表MF)

中スポ 東京中日スポーツ

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