7月14日

<蹴球分析 大住良之>GKが上位へのカギ

 「現代のGKはセーブするだけではない。攻撃の第一歩として、ゲームメークの役割も果たす」。国際サッカー連盟(FIFA)でGKプロジェクトを進めるスイス人のツベルビューラーは、今大会のGKの活躍ぶりを手放しで褒めた。

 32チームが出場した「ロシア2018」も、残るは3位決定戦と決勝の2試合のみとなった。最後の4チームを見ると、素晴らしいGKをもっていたことが共通要素として挙げられる。日本がベスト16からさらに上を目指そうというなら、このクラスのGKの育成が急務だ。

 一方、4チームにはそれぞれ個性的な長所もあった。ベルギーの判断の速さは大会全般を見ても際立っていた。ベルギーと3位決定戦を戦うイングランドは、攻守両面でのヘディングの強さ、味方につなぐ正確さが抜群だった。

 2度目の優勝を目指すフランスは守備が圧倒的に強い。アルゼンチン戦は4−3という点の取り合いになってしまったが、他はオーストラリア戦の1失点のみ。4試合が失点0だ。DF陣の個の力とともに、MFマチュイディの戦術的位置取り、FWジルーの前線での奮闘が特筆される。

 クロアチアの絶対に諦めない精神力とチームワークは感動的でさえある。準決勝の延長戦、名手モドリッチがミスを取り返そうと必死でスライディングをして起き上がれなかった。するとDFブルサリコが手を差し伸べて引き上げた。チームメートへの思いやりの心がチーム力になることを知った思いがした。

 残り2試合。今後の日本サッカーの成長のヒントを一つでも多く見つけたい。 (サンクトペテルブルク・大住良之=サッカージャーナリスト)

中日新聞 東京新聞

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