7月10日

<奥寺康彦の目>長所消されず戦えるか 準決勝展望

 フランス対ベルギーは、勝った方が優勝する可能性が十分にあるだろう。ともにタレントぞろいで、組織的にもしっかりしている似たようなチームだ。

 ベルギーは日本戦では守備に気の緩みがあったように見えたが、準々決勝では機能的にプレーしており、状態は充実している。中盤のウィツェル、シャドリ、フェライニの守備の貢献度が高く、ブラジル戦では3人がスライドしながらネイマールやコウチーニョをうまく抑えた。3トップの中央に入ったMFデブルイネも守備では下がりながら速攻の起点になった。素晴らしい戦術だった。

 フランスは、準々決勝ではFWエムバペの良さが出なかった。リスクを冒して2人でマークにつくウルグアイにスペースを与えられなかったが、チームとしての戦いはしっかりできている。中盤のカンテは非常に運動量があり、ボールコントロールしながらうまく攻める。その意味でも、準決勝は互いに長所を消し合いながら、がっぷり四つの展開になるだろう。自分たちのリズムで攻められるか。

 もう1試合は、恐らくイングランドがボールを動かしながら、クロアチアを押し込む展開になるのでは。クロアチアは準々決勝ではロシアにがっちり引いて守られ、相変わらず苦しんでいた。自分たちのリズムでプレーできるときはいいが、1トップのマンジュキッチは厳しいマークを受けて難しいのだろう。なかなか前線でキープできていない。ただ、イングランドはロシアのように引いて守ることはしない。そうするとクロアチアにも好機はある。

 イングランドは自分たちのサッカーを徹底している。速いボール回しやサイドチェンジで揺さぶりながら、サイドから突破。クロスに飛び込む選手も多く、迫力を感じる。FWケーンはゴール前での動きがうまい。良いチームは、若手が乗り出すと勢いが付くもの。若いイングランドは勢いがそのまま表れているようだ。 (元日本代表FW)

中日新聞 東京新聞

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