7月12日

<奥寺康彦の目>最前線 ジルーも帰陣

 互いに1点取られるとダメージが大きいというのがよく分かっていた。失点を恐れてどちらも用心深い試合になり、がっちりした守備で互いに相手の良さを消し合った。その中で得点はやはりセットプレーだった。

 フランスのウンティティはベルギーのフェライニの斜め後ろから入って頭で合わせた。フェライニとすれば、ポグバが前にいった時点でクリアできると思ったんだろう。ただ後ろは視野に入っていなかった。仕方ないとはいえエアポケットになってしまった。

 ベルギーはE・アザールがドリブルで仕掛けながら前線のルカクに良いボールを出そうとしたが、フランスはそれをさせなかった。中盤のカンテとポグバが懸命に動き、最終ラインの4人も強固。ワントップのジルーも下がって、みんなでタイトに守った。

 ベルギーはその袋小路の中で仕掛けても、なかなか良いボールが出せなかった。準々決勝のブラジル戦はフリーで良いパスを出していたデブルイネも窮屈そうだった。先制を許した後はメルテンスを投入したが、クロスを上げようという一点張りでなかなか中央で合わない。

 あれだけ守られたら本当にピンポイントのボールが必要になる。後半44分にデブルイネがルカクに良いボールを出した。ルカクの動きが遅れてボールが抜けてしまったが、そういうボールでないと合わせるのは本当に難しい。

 フランスは前線にグリーズマンとエムバペという足の速い選手がいるから、守ってカウンターという狙いだったのだろう。デシャン監督の指示がしっかり浸透し、まとまりを感じる。決勝でフランスと対戦する相手はこの2人をどう抑えるか、対策に頭が痛くなるかもしれない。

 ベルギーには期待していたが、3位決定戦に回ってもモチベーションがあれば十分に戦える。あとはルカクに爆発してほしい。 (元日本代表FW)

中日新聞 東京新聞

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