7月8日

<藤田俊哉の目>初優勝国 生まれるかも

 大舞台でこそ、心理的な要因が勝敗を左右する。そこに落とし穴がある。盤石と言われたブラジルのような強豪でも、一つのボタンの掛け違えが思わぬ敗戦につながった。

 大きな誤算は2点目だろう。ブラジルは今大会、決勝トーナメント1回戦までの4試合で1失点のみ。守備は堅く、攻撃さえかみ合えば問題ないと言われていた。そのチームが、前半で2点を追う展開を初めて強いられ「あれっ?」と不安になったはずだ。

 高さで分が悪い相手から得点を取らなくてはいけない。その気負いから、グループでしていた攻撃が個々の勝負へと移っていった。左サイドのネイマールやマルセロ頼みになった攻撃を打開しようと、右にドウグラスコスタを投入してから1点は奪ったが、そこまでだった。

 ベルギーは終始落ち着いていた。終盤に逆転して勝った日本戦の経験は大きかっただろう。途中出場で得点したフェライニやシャドリを先発起用して勢いをつないだ采配も、功を奏した。

 大会を盛り上げてきた南米勢が消え、ここからは本命不在の戦いになる。過去8チームしか制していないW杯に、初優勝国が生まれるかもしれない。どんな時代にもスターは現れる。ネイマールもメッシもロナルドもいないここからの戦いで、どんな新しいスターが生まれてくるのか楽しみだ。 (元日本代表MF)

中日新聞 東京新聞

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