小平と二人三脚、9年 所属先病院理事長

2018年2月27日

小平選手が相沢病院に所属したいきさつなどを語る相沢孝夫理事長=26日、長野県松本市で

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 平昌(ピョンチャン)冬季五輪のスピードスケート女子500メートルで金メダル、1000メートルで銀メダルを獲得した小平奈緒選手(31)が二〇〇九年から所属している相沢病院の相沢孝夫理事長(70)が二十六日、長野県松本市の同院で取材に応じた。快挙を祝福し「彼女がスケートをやめる時まで、二人三脚で歩きたい」と語った。

 金メダルを獲得したレースは、観客席で応援していた。勝利を決め、リンクを滑りながら観客席に近づいてきた小平選手に「連れてきてくれて、ありがとう」と大声で叫んだという。

 「『おめでとう』より『ありがとう』と言いたい。銀メダルの李相花(イサンファ)選手(韓国)と肩を抱き合っているのを見て、感激しました」と振り返った。

 小平選手は信州大を卒業する直前だった〇九年三月、所属先が決まらず、競技継続が危ぶまれていた。バンクーバー五輪まで約一年。小平選手は卒業後も信州大の結城匡啓(まさひろ)コーチの指導を希望し、長野県内で所属先を探していたが、不況で内定取り消しにも遭ったという。

 相沢病院は病床数四百六十床で、松本市内の中核病院の一つ。小平選手は、けがの治療を受けたことがあった。結城コーチも病院の医師と親交があり、小平選手側が病院に支援を依頼。相沢理事長は「長野の人が長野でスケートを究めたいと言うなら、応えないわけにはいかない」と採用を即決した。

 本人から病院勤務の申し出があったが、理事長は「雇ったのは、スケートをやってもらうため」と断った。長野市内の練習場近くにマンションを確保。競技に打ち込めるよう配慮した。

 事務職員としての給料を含め毎年の支援額は約一千万円。ソチ五輪後にオランダ留学をした際も、給料を払い続けた。一七年度は、大会を転戦する小平選手に帯同し、食事の準備などのサポートをする元五輪選手石沢志穂さんも臨時で雇用した。

 小平選手は毎年、シーズン終了後に病院で報告会を開催。病室を回り、患者と語らう。今年も三月末に報告会を開く予定だ。理事長は「その日は、何も用事を入れないようにします」と笑った。

 (川添智史)

中日新聞 東京新聞

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