高木菜が二つ目の金メダル マススタート

2018年2月25日

女子マススタートでスパートする高木菜那(左)。金メダルを獲得した=共同

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 新種目のマススタートが行われ、女子の決勝で高木菜那(日本電産サンキョー)が優勝した。高木菜は団体追い抜きに続いて今大会二つ目の金メダル。佐藤綾乃(高崎健康福祉大)は1回戦2組で転倒して敗退した。男子の決勝でウイリアムソン師円(日本電産サンキョー)は11位。土屋良輔(メモリード)は1回戦の2組11位で敗退。李承勲(韓国)が優勝した。 (共同)

◆最終カーブ 隙突き加速

 最後の最後まで好機を待ち続けた。高木菜はスタートから優勝候補のスハウテンをマーク。「楽に滑ろう」とライバルを空気抵抗の「風よけ」に使いつづけた戦略が金メダルへの必勝法となった。

 最終周。「想像通り」にスハウテンがスパートをかけて先頭に立つと、団体追い抜きのように脚のピッチをそろえて追走した。最後のカーブでライバルが少し膨らむ。一瞬の隙。「ここで行かなきゃいつ行く」。全選手最小の身長155センチの体でわずかな内側に潜り込み、最短コースを確保した。最後の直線は必死に脚を動かし、ゴールを駆け抜けると「やった、やった」と何度も両腕を突き上げた。

 1回戦は第1組で最初の得点地点となる4周目をトップで駆け抜け、通過に必要な5ポイントを獲得。後は周回遅れの失格だけに気を付け、悠々とゴールまで滑った。だが、第2組で同僚の佐藤が転倒し、失格。個人種目だが、チーム戦の要素が大きい新種目で貴重な相棒を失った。

 それでも冷静に戦略を立て直した。スハウテンは2014年に日本電産サンキョーの一員としてオランダに留学した時のチームメート。性格や滑りの特徴も熟知していた。

 自らの強みを「後ろについたら絶対に離れない」と語る。先頭の後ろにつけば、空気の流れから隠れやすい小柄な体と、負けん気がこの日も存分に発揮された。序盤にエストニアの選手が大逃げを打つ展開にも「逃げ切れない」と読み切り、「技術も体力も必要だし、レース展開を把握できる能力も必要」と語る新種目を完璧にやり遂げた。

 W杯で勝ち続ける妹美帆を追い掛けてきた。今回は、個人種目で銀メダルが最高だった美帆を上回る金メダル。表彰台にジャンプして立った。「美帆だけでなく、菜那もいるってところを見せられた」と胸を張って君が代を歌った。 (原田遼)

中日新聞 東京新聞

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