スピードスケート、「王国流」の強化実る 平昌五輪総括

2018年2月25日

 三つの金メダルなど計六つのメダルをつかみ、ゼロに終わったソチ五輪から大きく数を伸ばした。500メートル金、1000メートル銀の小平奈緒(相沢病院)、1000メートル銅、1500メートル銀、団体追い抜き金の高木美帆(日体大助手)の女子2大エースが五つのメダルに絡んだ。それだけではなく、高木菜も最終種目のマススタートで初代女王に輝いた。メダルなしの男子も500メートルで山中大地(電算)、1000メートルと1500メートルで小田卓朗(開発計画研究所)がそれぞれ5位に食い込むなど、あと一歩のところまで迫った。

 小平はソチ五輪後の2シーズン、大国オランダに留学。元五輪メダリストのコーチからオランダ流のフォームを学び、飛躍につなげた。

 一方、日本スケート連盟は2014年夏に所属先の垣根を越えて年間を通じて活動するナショナルチーム(NT)を設立。独自路線の小平らをのぞく日本のトップ選手を集めて強化を図った。

 NTの成功は15年にオランダから招いたヨハン・デビット・コーチの手腕が大きい。選手の練習メニューや体調を一元的に管理し、血液検査や体力数値を基に効率的なトレーニングを進めた。設立当初は既存チームからの反発もあったが、ソチ五輪で代表落ちした高木美や、高木菜らがNTで急成長。年々、大学や実業団からの選手派遣が増え、団体追い抜きなどの強化につながった。一方で実業団は存在意義が薄れ、採用人数も減少傾向。今後は選手の環境整備も課題となる。 (原田遼)

◆スピードスケートのマススタート

 2人1組で滑る他の個人種目と異なり、大勢で一斉に長距離を滑る新種目。五輪決勝は16人で16周。内側の練習レーンも使用し、4周ごとの通過順とゴール時の順位に応じた得点の合計で争う。1〜3位はゴールの着順と同じになるが、4位以下は獲得ポイントで決まる。個人戦だが、同じ国やチームの選手が協力し合い、優位に進められるかもポイント。 (共同)

中日新聞 東京新聞

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