<新谷志保美EYE>菜那の状況判断力が生きた

2018年2月25日

 今回の金メダルは、高木菜のレース運びのうまさに尽きる。準決勝では最初の中間ポイントを取って決勝進出を確定させたうえで、1時間半後に向けて足をためておいた。決勝では、佐藤が進出できずに1人になったことで、逆に作戦を1つに絞ることができたのではないか。

 決勝はエストニアの選手が1人で逃げたが、これが同国2選手で協力して逃げられるとまずいところ。でも1人なら追いつけると高木菜は見ていたはず。周りをよく見て、誰が今どこにいるのかを把握し、他の人が詰めてくれる流れに乗って、乗って、最後に勝負をかけられた。

 状況判断力や対応力というのは、高木菜がもともと優れているところ。例えばちょっとのチャンスがあると前に行ってしまうのが選手心理だが、高木菜は焦らず、勝負どころを見極めて逃さない。

 残り1周を2番手で滑り、最終カーブで先頭のオランダ選手が膨らむのを予想。その内側を突いた上で、インのインを狙っていた後ろの韓国選手にその隙間を与えなかった。16周という距離は決して短くないだけに、持久力と最後のスプリント力も素晴らしかった。

 マススタートは新種目だが、日本人に向いている。メダルラッシュとなった今大会のスピードスケート陣にとっては、最高の締めくくりとなった。 (バンクーバー五輪代表)

菜那の状況判断力が生きた

中スポ 東京中日スポーツ

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