高木菜「金」 マススタート初代女王は155センチ

2018年2月25日

平昌冬季五輪のスピードスケート女子マススタートで金メダルを獲得しガッツポーズする高木菜那=24日、韓国・江陵で(共同)

写真

 スピードスケートの新種目マススタートで、高木菜那(25)が二個目の金メダルをつかみとった。「最高の滑りができて、最高のオリンピックになった」と晴れやかな笑顔を見せた。

 身長一五五センチと出場二十四選手の中で最も小柄。他の種目では脚の長い欧米選手と比べてハンディになるが、この新種目はだんご状態でレースが進む。試合前、「他の選手の背後について空気抵抗を減らしたり、狭いところを行くには有利かな」と言っていたように、思惑通りの展開だった。

 身長の伸びは中学二年生で止まった。足が遅く、小学生の時にスケートと並行してプレーしていたサッカーではサイドバック。サッカーでも全国レベルだった妹美帆(23)と比べても、体格は劣っていた。

 それでもスケートは道具をうまく使えば、体格をカバーできる。「小さいと一歩で押す距離が短くなってしまう。全身を使って、大きく滑る」と、氷を押すタイミングを突き詰めた。

 高校卒業後は大学進学を考えたが、二〇一〇年バンクーバー五輪に中学三年で出場した妹を見て、「妹に勝って五輪に出る近道」と日本電産サンキョーに入社した。当時は同五輪銀メダリストの長島圭一郎さんが所属。低い重心から足を力強く前に運ぶフォームを参考にした。急加速や進路変更があるマススタートは、地道に磨いたスケートの基礎を見せつける時だった。

 妹は平昌では個人と団体で三つのメダル。「まだまだ妹にはかなわないけど、自分の力を出せるように頑張りたい」と誓ったレース。小さくても世界で戦えると証明した。 (江陵(カンヌン)・原田遼)

中日新聞 東京新聞

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。

Search | 検索