団体追い抜きで頂点に立った勢いをそのままに、全力のスパートで駆け抜けた。平昌（ピョンチャン）冬季五輪のスピードスケートの新種目、女子マススタートで高木菜那選手（２５）が初代女王に輝いた。「最高の五輪」と、とびきりの笑顔を見せた。カーリング女子は日本初の銅メダル。手に汗を握る戦いに競り勝ったメンバーは涙を浮かべた。故郷や会場の応援団は歓喜し、快挙をたたえた。　

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　表彰台の上で、小柄な体がひときわ大きく輝いた。高木菜那選手が、団体追い抜きに続く金メダル。ゴール後、ガッツポーズを繰り返す娘に、スタンドで声援を送った父愛徳さん（６０）は「最高の笑顔を見せてくれた」と喜んだ。

　スタンドでは、団体追い抜きのメンバー、妹の美帆選手（２３）、菊池彩花選手（３０）のほか、女子５００メートル金メダルの小平奈緒選手（３１）らが大きな歓声を送った。

　十六人で一斉に十六周を滑った決勝。一回戦で佐藤綾乃選手（２１）が他の選手の転倒に巻き込まれて敗退する中、日本勢一人で挑んだ。集団の中ほどに位置を取り、空気抵抗を避けて体力を温存。最終コーナーで勝負をかけた。

　ゴールと同時に、両手を突き上げ、満面の笑み。リンクサイドのスタッフと抱き合い、ウイニングランでは日の丸を掲げ、スタンドの声援に応えた。「支えてくれた両親や仲間にありがとうと伝えたい」と感謝の言葉を口にした。

　レース中、唇を固く結んで見守った愛徳さん。ラスト一周で体が前に乗り出し思わず立ち上がった。「本当に状況判断をうまくやって、結果につながった」と感慨深げ。

　新種目で初代女王となり「これから注目され、頑張ろうと思う子どもが出てくるかもしれない。勇気や希望を与えてくれた」とたたえた。

　美帆選手と姉妹で金メダリスト。「今回は二人とも楽しんだ五輪。この四年間、本当に厳しい練習をしてきたのが報われたんだと思う」と語った。　（共同）

　新種目の女子マススタートで金メダルを獲得した高木菜選手の一問一答は次の通り。　（共同）

　−初代女王になって。

　「この種目が始まってから表彰台に上ったことはあったけど、金メダルという一番高いところには今まで上ったことはなかった。最高の舞台で初めて一番高いところに立てて本当にうれしい」

　−団体追い抜きとの金メダル二個。意味合いは違うのでは。

　「（敗退した）佐藤の分まで金メダルを取りにいく気持ちだった。追い抜きでもメダルが取れたので、その分落ち着いてマススタートに挑めた」

　−今大会を最高の結果で締めくくった。

　「最初（女子５０００メートル最下位）は本当に悔いが残るレースをして申し訳なかった。残り二本で自分の最高の滑りができた。最高のオリンピックにできたので良かった」

　−金メダルは妹より一つ多い。

　「美帆だけじゃなくて菜那もいるんだぞ、というところを見せられた。妹も一生懸命やっている姿を隣でずっと見てきていたので、妹のことを誇りにも思っているし、今回三種目でメダルを取ってきた姿が自分にもすごく刺激になった。本当に頼もしい妹だなと思う」