終わった瞬間の宮原選手の心からのガッツポーズを見て、私もうれしくなりました。ジャンプの回転不足も取られませんでしたし、表情や体の動き一つ一つで「蝶々夫人」を表現していて、完璧な演技でした。

　普段は連絡を取り合う仲なのですが、今大会中は一度も送りませんでした。これから「お疲れさま！」と送ります。ずっと甘い物を我慢していたと思うので、一日くらいは自分にご褒美をあげてほしいですね。

　坂本選手は後半のミスも大きなものではなく、良さをしっかり出せていました。跳んだ後も跳ぶ前と変わらないスピードで降りてきて、しっかりとした流れがあるのが彼女のいいところ。出来栄え（ＧＯＥ）で加点をもらえていました。

　ＯＡＲ勢との点差は確かに開きました。ただ、今回の宮原選手の得点は４年前のソチで銀メダルだった金妍児（キム・ヨナ）選手を上回っています。それほどフィギュアスケートの進化は速いのです。今大会のザギトワ選手を超えるためには、演技をもっと洗練させ、突き詰め、難しいジャンプに挑戦する必要があります。

　４年後の北京五輪では女子でもトリプルアクセル（３回転半ジャンプ）と４回転ジャンプがキーワードになるのではないでしょうか。ロシアにはジュニアで４回転を跳んでいる選手がいますし、日本でも紀平梨花選手が練習で４回転を成功させたと聞いています。

　宮原選手も坂本選手も次を目指す以上、取り組んでいくと思います。４年後はともに２０代になりますが、鈴木明子さんが２０代になって連続３回転を跳んだように、これからの習得は本人の努力次第です。一日一日を大切に、やっていることを信じて積み重ねてほしいと思います。　（プロフィギュアスケーター、ソチ五輪代表）