宮原4位「やれることは全てやった」 SPに続き自己ベスト
2018年2月23日
女子フリーの演技を終え、ガッツポーズする宮原知子=23日、江陵で(潟沼義樹撮影) |
24人による女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)4位の宮原知子(関大)が自己ベストを更新する146・44点をマークし、合計も自己最高の222・38点として4位だった。SP5位の17歳、坂本花織(シスメックス)は136・53点をマークし、合計209・71点で6位。SP首位でグランプリ・ファイナルを制した15歳のアリーナ・ザギトワ(OAR)が合計239・57点で逃げ切り金メダル。世界選手権2連覇中のエフゲニア・メドベージェワ(OAR)は合計238・26点で2位、昨季世界選手権2位のケイトリン・オズモンド(カナダ)が231・02点で3位だった。 (共同)
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会心の演技を締めくくった宮原が、こみ上げる達成感に身を委ねた。満面の笑みをたたえ、両手を突き上げる。日本女子のエースとして重圧のかかる五輪の舞台で、SPに続いてフリーでも自己記録をマークした。
冒頭の3回転ループに続き、団体SPで回転不足を取られた3回転ルッツ−3回転トーループも正確に決めた。流れに乗って乱れなくスピンやステップをこなし、その後のジャンプも全てクリーンに着氷。けがの影響を感じさせない盤石の滑りだった。
ためこんでいたパワーを解き放つ時だった。「メダルを考えるよりも、ここまで頑張ってきたこと全てを出したい」と勝負のフリーに挑んだ。
昨年末に全日本選手権で優勝し、五輪代表を決めたが、その反動から昨季終盤に負った股関節骨折の箇所で炎症が起きていた。年明け以降は氷上練習に制限をかけ、慎重な調整に終始。先月下旬の四大陸選手権では調整不足がたたり、坂本らに次ぐ3位にとどまったが、それも想定の範囲内だった。
帰国後の検査で炎症が消えたことを確認。「ここまできたら、行けるところまで行こう」と浜田コーチがラストスパートのゴーサインを出した。控えめにしていた曲をかけた練習をそれまでの倍に増やし1日3〜4時間、みっちりと滑り込んだ。
練習の合間に整氷車が入る時間も、試合当日の6分間練習と本番の間の待ち時間のシミュレーションにした。一度靴を脱ぎ、体をリラックスさせてから再び気合を入れ直す。整氷作業が終わると、すぐに曲をかけ、本番さながらの緊張感で臨んだ。
宮原は「前日にたくさん練習して、体がしんどい時も、ちゃんと跳べるようにしてきた。試合は緊張して、また違う体の疲れも出てくる。どんな状況でもできるように」と過酷な練習に耐えてきた。
痛みの再発と隣り合わせで追い込んできた。3位と僅差で迎えたフリーで、苦難を乗り越えてたくましさを増した姿を披露した。 (江陵・原田遼)