坂本6位 最後は笑顔 ダイナミックに本領

2018年2月23日

女子フリーで演技する坂本花織=田中久雄撮影

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 高く、フェンスにぶつかりそうになるほどの幅を跳ぶジャンプ。世界で戦うために身に付けた技で勝負をかけた坂本は、終盤の3回転で着地が乱れてメダルを逃した。「練習から不安があって、それが試合に出てしまった」。自己ベストの得点を下回った結果に悔しさを見せた。

 見栄えのするジャンプは出来栄え点(GOE)で加点がつきやすい。SPでは三つのジャンプで計3・43点のGOEを引き出し、技術点では宮原を上回る40・36点。ジャンプが七つに増えるフリーでも成功をそろえれば、表彰台も視界に入っていた。

 中学2年の合宿で、並行して続けていた競泳仕込みの脚力に目をつけた中野コーチから「他の選手とひと味違うものを出さないと勝てない」と特訓を命じられた。通常は少し減速して踏み切りのタイミングを合わせるが、コーチの「走れー」の掛け声でトップスピードに乗り、「ハイ」の指示でジャンプに踏み切る。

 転倒の衝撃は激しく、「怖かった」と振り返るが、当時、同じ中学生では樋口新葉、本田真凜らが頭角を現していた。同世代のライバルに勝つためにはGOEのつく「幅のあるジャンプ」の習得が不可欠だった。

 3年がかりでジャンプが安定。今季は自己ベストを次々と更新し、日本だけでなく世界を驚かせてきた。「悔しいけど、やりきった気持ちがある。いい経験になった」。会場を沸かせた演技を終え、ほっとしたような笑顔を見せた。 (原田遼)

<坂本花織の話> ノーミスでできなかったのは悔しいが、やりきった気持ちがある。練習の時から不安があって、それが試合に出てしまった。(初の五輪は)すごく緊張したが、いつもの試合では味わえない。いい経験になった。 (共同)

中日新聞 東京新聞

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