<新谷志保美EYE>先行されても焦らず逆転

2018年2月22日

ガッツポーズする高木美(左)(田中久雄撮影)

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 100点満点のレースができた。中盤でオランダがリードを奪ったが、想定内の差。ラップで先にいかれても焦らなかった。チームは序盤の高木美で少しリードし、佐藤と高木菜で粘って、終盤の高木美で逆転するシナリオを描いていたはずで、その通りになった。

 金メダルを取るためにナショナルチームとしてこの4年間やってきた成果が、すべて出た。空気抵抗の少ない隊列の組み方、足の合わせ方など。高木美が要として動いたが、このメンバーだからこそやれたことだ。準決勝は菊池が入り、2時間後の決勝に佐藤を温存した。170センチと背の高い菊池が入ると空気抵抗から負担が大きくなる。だから164センチの高木美の後ろにすぽっと入りきれる157センチの佐藤の方が相性はいい。さらに高木美は佐藤と高木菜の後ろで滑るときに、うまく足を合わせていた。

 一方のオランダはブストが高木美のような存在。先頭で引っ張るための余力をいかに残していくかがポイントだったが、ちょっとずつ3人の足が乱れ、疲労がたまる後半や最後の勝負に出たときにきつくなった。

 もちろん、日本には高木美という世界のトップで戦っている選手がいるからこその成果だが、個人の力量だけではないところで勝負できるのが追い抜きだ。今回の大成功に甘んじることなく、個人の力をつけていけば、連覇も夢ではない。 (バンクーバー五輪代表)

中スポ 東京中日スポーツ

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