<村上佳菜子レポート>坂本がつくった流れに宮原が乗った

2018年2月22日

 とにかくレベルの高さに驚いて、「ふわぁ」と開いた口が乾燥してしまうくらいの戦いでした。フィギュアでは前を滑った選手に引っ張られていい演技ができる相乗効果が起きる試合もあり、上位5人が自己ベストを更新する流れをつくったのは坂本選手。その波に乗ったのが宮原選手だったと思います。

 坂本選手は得点が1・1倍になる後半にジャンプを3本入れる構成でした。これはかなりきついのですが、あれだけ安定したジャンプを跳べたのは大きな収穫。緊張をうまく力にできる方法を見つけたと思います。

 宮原選手は滑り終えた後も表情が硬かった。団体での連続3回転ジャンプで回転不足を取られていたので、点数が出るまでは不安だったのかもしれません。ただ、今回の開催地が平昌ということで、移動時間をかけずに日本に一時帰国した宮原選手は、気持ちを一回リセットし、課題克服に向けてしっかり追い込むことができたのだと思います。長い大会期間中ずっと集中力を維持するのは大変。それに選手村の食事が口に合わない人もいます。食事、気候、静かな環境と、帰国しての調整はベストな選択だと思います。

 何が起こるか分からないのが五輪。表彰台に向けてフリーでの逆転に期待したいです。宮原選手の「SAYURI」は映画のシーンを思い出させるように、音をしっかり捉えて表現していました。フリーではジャンプと表現で「蝶々夫人」のストーリーを見せてほしい。最高の舞台で2人とも自分が納得いくような演技ができることを願っています。 (プロフィギュアスケーター、ソチ五輪代表)

中スポ 東京中日スポーツ

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