宮原4位発進 逆転メダルへ2.93差 回転不足の課題克服

2018年2月22日

女子SPで4位となった宮原知子=江陵で(田中久雄撮影)

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 日本勢、2大会ぶりのメダルいける−。女子ショートプログラム(SP)が江陵アイスアリーナで行われ、初出場の日本勢は宮原知子(19)=関大=が自己最高を塗り替える75・94点で4位、坂本花織(17)=シスメックス=も自己ベストの73・18点で5位につけた。今季のグランプリ・ファイナル優勝の15歳、アリーナ・ザギトワ(OAR)が82・92点の世界歴代最高をマークして首位、世界選手権2連覇中のエフゲニア・メドベージェワ(同)は自己最高の81・61点で2位。上位24人が23日のフリーに進んだ。

 その瞬間、大きく目を見開くと「やったぁ!」と喜んでいた。表示された宮原の得点は自己ベストを1・3点更新する75・94点。SPを終えた順位は3位のオズモンド(カナダ)と2・93点差の4位。日本のエースが課題を克服して、メダル獲得へ望みをつないだ。

 「『70点台出てくれ!』と願いながら待っていた。やっと75点が出せたという気持ちです」

 いつものように見た目には完璧だった。冒頭のルッツ、トーループの3回転連続ジャンプを成功させると3つのジャンプをすべて決めた。ただ問題はジャッジだ。11日の団体戦SPでは連続ジャンプが2つとも回転不足の判定で68・95点。あれから10日、問題の連続ジャンプに回転不足の判定はなく、0・70点の加点も付いて11・00点。団体戦が6・00点だっただけに、高得点になるのは当然だった。

 「グッ、グー、グッ、バッ」。陸上でのアップ時も氷上でも、跳ぶときに呪文のように唱え続けた。団体戦を終えて、再調整のために日本に一時帰国した。短い期間で取り組んだのが連続ジャンプの改良だ。「グッ」が跳ぶ瞬間で次の「グー」が着氷時で「バッ」が最後の着氷。これまでは「グッ、グッ、グッ、バッ」。ルッツ後の着氷時にためをつくり、わずかに助走を伸ばすことでトーループの精度を高めた。何度もビデオで確認して帰ってきた。

 海外メディアからの英語での質問には英語で答える。4歳から2年半、米国にいた帰国子女ではあるが、大学生になった今でも授業とは別に英語の教室に通っているという。「英語を忘れないように小学1年くらいから通っているけど、今は英会話というより英検とかTOEIC(英語能力テスト)とかのための時事英語を習っている」。そんな宮原の夢の一つが、スポーツ医学を学ぶこと。その前にメダル獲得という夢へ突き進む。

 「もちろん、そうできれば一番うれしいけど、今まで頑張ってきたことを出したい」。ザギトワ、メドベージェワのOAR勢の牙城は高いが、メダルは十分に射程圏。ちなみに五輪のフィギュアが2部構成になった過去6大会で前半4位以下から表彰台に立ったのは過去3人だけ。厳しいかもしれないが、乗り越えられない壁ではない。 (兼田康次)

中スポ 東京中日スポーツ

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