坂本5位「魔物に勝った」 頼もしい「ずぶとさ」
2018年2月22日
演技を終え歓声に笑顔で手を振る坂本花織=田中久雄撮影 |
出だしの一歩目でいきなりつまずきかけた。緊張していた坂本は心の中で「フッ」と笑いが込み上げ、「気持ちが楽になった」という。全三つのジャンプは基礎点が高まる演技後半に集めており、体を慣らす時間も十分あった。
勝負の後半。最初の2連続3回転ジャンプはリラックスした踏み切りから柔らかく降り立った。
着氷直後も伸びやかに刃を滑らせ、1・40の出来栄え点を引き出すと、残る二つのジャンプも立て続けに成功させた。
今季シニアデビューしたばかりで実績が乏しい。32・82点の演技点は、37点を超えてくる上位陣において極端に抑えられた印象だが、大舞台で挙げた73・18点は誇れる自己ベストだ。「五輪という大舞台で自分の滑りができたことが一番うれしい。五輪は魔物がいるとよく聞く。その魔物には勝ったかなとうれしさがある」
5位発進にメダルの確率を問われると、「30パーセント、いや20パーセント。上でのレベルではまだまだ戦えない。自分のことで精いっぱい」と苦笑い。独特の雰囲気にものまれないずぶとさで、ヒロインへの階段を駆け上がる。 (原田遼)