天然リンクが原点 長野・南相木村出身、菊池姉妹の3人

2018年2月20日

スケート用スーツを着た子ども時代の菊池姉妹。悠希選手(奥)と(手前左から)萌水選手、純礼選手、彩花選手、長女真里亜さん=1999年1月撮影(家族提供)

写真

 一時間に一本しか列車がない単線の近隣駅から車で二十分。長野県東部の群馬県境に、五輪選手を生んだ南相木(みなみあいき)村が広がる。平昌五輪ショートトラック、スピードスケートの菊池姉妹はこの地で生まれ育った。

 五姉妹のうち、二十日のショートトラック女子3000メートルリレーなどに三女悠希(ゆうき)選手(ANA)と五女純礼(すみれ)選手(トヨタ自動車)が出場を予定し、次女彩花(あやか)選手(富士急)はスピードスケート女子の団体追い抜きメンバー。四女萌水(もえみ)選手も今大会の代表からは漏れたが、前回ソチ五輪のショートトラックで出場した。

 人口約千人の村の集落を離れ、南東に道を進むとダム湖の「立岩湖」が見えてくる。冬場は一面に氷が張り、氷に穴を開けたワカサギ釣りのスポットとなる。

 姉妹は、この天然リンクでスケートを始めた。村に一つしかない小学校のスケートクラブのコーチを務めていた母初恵さん(55)に連れられ、それぞれ歩き始めるころにはスケート靴を履いていた。自宅から湖まで徒歩二十分。寒くて渋る娘たちに、初恵さんは「やる気がないならやめなさい」と厳しく言った。

 父の毅彦さん(61)は「スケートやソリしか遊びがなかった。姉がやっていると下の娘も自然と滑るようになった」と話す。毅彦さんは二〇一五年まで四年間村長を務めたが、「村でスポーツを強化しているわけでもない。姉は妹には負けないと思い、互いに切磋琢磨(せっさたくま)してきた」と喜ぶ。

 山に囲まれた小さな村で成長した姉妹が平昌五輪で奮闘している。個人種目では、まだ思うような結果が残せていないが、後半種目での活躍を誓っている。

 (江陵(カンヌン)・安福晋一郎)

中日新聞 東京新聞

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。

Search | 検索