小平、誓う世界新 金メダル一夜明け

2018年2月20日

女子500メートルのレースを終え、健闘をたたえ合う金メダルの小平奈緒(左)と銀メダルの韓国の李相花(共同)

写真

 スピードスケート女子500メートルで金メダルを獲得した小平奈緒(31)=相沢病院=が一夜明けた19日、平昌のジャパンハウスで会見し、「500メートルの世界記録を塗り替えたいという思いがある」と昨年12月に1000メートルで出した世界新に続く目標を掲げた。3度目の五輪で大輪の花を咲かせた小平は「もう少し滑りたい」と現役続行も明言した。

 6位入賞の1500メートル、銀メダルの1000メートルに続く3レース目での悲願達成。小平は会見できっぱり言った。

 「自信は正直あった。しっかり自分の滑りができれば、いいタイムは出ると思った」と胸を張った。

 メダルの名誉は手に入れた。次なるターゲットは、もちろん世界記録。確定はしていないがカナダ・カルガリーがその舞台。「500メートルの世界記録を塗り替えたい。今季できる限りの挑戦をしたい。条件がそろえば、記録更新は十分に狙える」と意気込みを語った。

 目標を次々と口にする一方で、支えてくれた仲間、ライバルへの感謝も同じように熱く語った。

 特に今の小平があるのは、宿命のライバルである李相花(イ・サンファ)=韓国=の存在が大きいと強く感じているという。お互いに支え合い、高め合ってきた。

 今回の五輪でも、日韓のメディアでは2人の戦いを取り上げ、注目を集めた。ソチ五輪で2連覇を果たすまでは李相花が小平の上をいき、その後、小平が逆転した。迎えた五輪本番。2位に終わった李相花を抱き寄せて韓国語で言葉を掛けたという。「チャレッソ(よくやったね)」

 続いて英語で「私はまだサンファをリスペクトしているよ」と。

 成績が思うように上がらず、レース後にクールダウンをしながら泣いていた時、優勝した李相花が来て一緒に泣いてくれたエピソードを披露するなど、2人は「友情」という言葉ではくくれないほどの深い絆で結びついている。

 「レース後は私もサンファの気持ちに寄り添いたかった。彼女から力をもらって次のステップに進める機会が何度もあったので恩返しをしたかった」と、感動を呼んだ場面を思い出すように話した。

 3度目の五輪を「スケートの楽しさを思い出させてくれた」と振り返った。世界記録を狙って、競技はまだ続ける。「また新しい景色を見に行きたい」。スピードスケートを究める旅はまだ終わらない。 (辛仁夏)

◆亡き友をしのぶ

 この会見では、1月20日に亡くなった信州大の同級生・住吉都さんのことも質問され、目に涙を浮かべて言葉を詰まらせる場面があった。「正直、彼女のことは何度も何度も思い出すことが多く、考えないようにしていても常に頭に浮かんでしまっていた」

 五輪前には、住吉さんの関係者の方から、住吉さんが生前に「奈緒が金メダルを取ったら私が金メダルを取ったのと同じ」と話していたことを聞いていたと明かした。それを聞いて「すごく救われたような気持ちだった」と小平。「『本当は本人の目の前で金メダル取ったよ』と報告したかった。それができないのは本当に残念」と、亡き友をしのんだ。

中スポ 東京中日スポーツ

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。

Search | 検索