<新谷志保美EYE>長距離の経験生きた…際だった最後の直線

2018年2月19日

女子500メートルで金メダルを獲得し、スタンドの応援団に向かって両手を上げる小平奈緒。左は結城匡啓コーチ=江陵で(共同)

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 小平がよくやってくれました。すごい、うれしいの一言。本当に根性のある子だなぁ。

 スタートではドンと鳴る前にピクッと動いてしまった。普通の選手なら「フライングを取られるのかな」と構えてしまいがちだけど、うまく切り替えた。100メートルを10秒26といいラップで入って、スピードに乗った。

 際だったのは最後の直線。力強いスケーティングで強さを見せた。小平は1000メートル、1500メートルにも取り組んでいる。長い距離で付けた力が、ラストで生きたのではないか。

 ライバルと目された李相花はバックストレートで同走の郷をいい感じで追っていたが、スピードに乗っていた最後のカーブで少しミスをした。500メートルに関しては、小平と他の選手とでは底力が違っていた。

 小平は中学生のころ、私の父が指導するスケートクラブに入ってきた。地元チームもあるのに父のクラブに遠くから通ったことで肩身の狭い思いをしたようだけど、それだけ強い子だった。父は選手に自分で考えながら練習させるような指導をしていた。

 小平は信州大の学生当時から結城コーチの指導を受けている。かつて私も教わった結城コーチは、科学的に根拠のないことはやらない人。そうした指導法も小平の成長につながった。

 もう若くはない。アスリートとして難しい部分も出てくるけど、彼女は年齢を重ねるごとにもっと洗練されるかもしれない。 (バンクーバー五輪代表)

中スポ 東京中日スポーツ

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