羽生、4回転アクセル習得に本気 残す目標かなえる

2018年2月19日

記者会見後の写真撮影で金メダルを手で包み笑顔を見せる羽生結弦(田中久雄撮影)

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 フィギュアスケート男子で66年ぶりの連覇を達成した羽生結弦(23)=ANA=が18日、平昌ジャパンハウスでのメダリスト会見に出席。改めて喜びをかみしめると、今後の目標としてクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)の習得を掲げた。また、五輪初出場で銀メダルを手にした宇野昌磨(20)=トヨタ自動車、中京大=は3月の世界選手権(イタリア・ミラノ)に向けてジャンプの完成度を高めると誓った。

 次なる目標も、大好きなフィギュアスケートにまつわるものだった。連覇を達成して一夜明けたメダリスト会見、羽生は「本当に幸せ」とすがすがしい表情を浮かべた。やり切った。だから前日も含めて次の目標を五輪3連覇とは言わなかった。だが、スケート靴を脱ぐつもりもなかった。

 「夢がかなった気持ちはあるし、やるべきことをやれた実感はある。ただ、まだやりたいことはスケートで残っている。本当に今まで人生をスケートにかけてきて本当によかったと心から言えるし、これからもうちょっとだけ、自分の人生をスケートにかけたい」

 やり残したこと、それは前人未到のクワッドアクセルだ。「たぶん小さいころの自分なら『前人未到だから』と言うと思うけど、今の僕の気持ちとしては最後の最後に支えてくれたのはトリプルアクセル(3回転半)。何よりも僕の恩師である都築(章一郎)先生が『アクセルは王様のジャンプだ』って言っていたので、それを得意として、大好きでいられることに感謝しながら目指したい」。昨年10月のロシア杯後にも明かしていた野望に、本気で取り組もうとしていたのだ。

 右足首の故障明けながら今大会SPでのトリプルアクセルの出来栄え点は満点の3・00点。世界一美しいアクセルを跳ぶ王様だが、4回転半への道は簡単ではない。この日は今大会に出場するために痛み止めの薬を飲んでいたこと、治療に時間がかかることを明かした。さらに4回転半ともなると、着氷する右足への負担はより大きくなる。実現への見通しすら立たない状況だが、新たな挑戦に心を躍らせている。

 「何よりモチベーションはすべて4回転アクセルだけなので。取るものは取ったし、やるべきこともやった。あとは小さかった頃に描いていた夢じゃなくて目標をかなえてあげる、それだけかなと…」。実現は来季か、そのまた先か。いずれにしても日本が誇る希代のヒーローは、きっと新たな武器を引っ提げてリンクに帰ってくる。 (兼田康次)

記者会見後の記念撮影で、宇野昌磨(右)のリボンを直す羽生結弦

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◆羽生 一問一答

 −ソチ五輪から青写真通りだったか

 羽生「全然。本当にけがと病気に苦しみながらこの4年を過ごしたけど、はっきり言って思い描けなかった。でも正直に言えるのは、(昨年11月の)NHK杯でけがするまで順風満帆に何もなくうまくきていたら、たぶん五輪で金メダルは取れていなかった」

 −スケートを終えてやりたいことは

 「世界中でいろんなところを回りながらスケートで本気で1位を目指す人に何か手助けをしたい。コメンテーターもあるかもしれないけど、テレビより、できれば直接選手の手助けがしたい」

 −クワッドアクセル習得のめどは

 「右足の負担は大きなものになる。実際にここまでくるのに、4回転ループが跳べたのが(韓国への)移動の前日。4回転ルッツはまったくやらず、トリプルルッツが跳べるのもギリギリだった。痛みとの闘いの中で何とか跳べた。4回転アクセルに関しては、右足首の状況を見ながら習得を目指したい」

 −今後の予定は

 「足首次第。今は痛み止めを飲まないとジャンプを跳べる状態ではない。治療期間が欲しい。それがどのくらいか。あとはアイスショーの関連とかもある。せっかく金メダルを取ったからこそ、いろんな方にすぐ伝えたいし、笑顔になってもらいたい。ただ、競技として考えると、治療の期間が必要だなと思う」

中スポ 東京中日スポーツ

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