羽生、魂の連覇 けが越え「自分に勝てた」

2018年2月18日

2大会連続の金メダルを決めた羽生結弦

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 【平昌(ピョンチャン)=本社五輪取材団】平昌冬季五輪は第九日の十七日、フィギュアスケート男子フリーで、羽生結弦(ゆづる)(ANA)が圧巻の演技を披露し、ショートプログラム(SP)と合わせて317・85点で二連覇を果たした。今大会の日本勢金メダル第一号。男子での連覇は六十六年ぶり。宇野昌磨(しょうま)(トヨタ自動車)も合計306・90点で銀メダルに輝き、フィギュアで初めて複数の日本選手が表彰台に立った。日本勢のメダル獲得数は九個になり、海外で開催の冬季五輪では過去最多となった。

2位になった宇野昌磨=江陵で、いずれも潟沼義樹撮影

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 SP二十位の田中刑事(倉敷芸術科学大大学院)は、十八位に終わった。

 ノルディックスキー・ジャンプ男子ラージヒルでは、小林陵侑(土屋ホーム)が日本勢最高の十位。ソチ五輪二位の葛西紀明(土屋ホーム)は二回目に進めなかった。

 羽生結弦(23)が髪を振り乱し、両足を鋭く滑らせて、銀盤に金メダルへの鮮やかな曲線を描いた。演技を終えた瞬間、右の人さし指を天に向かって突き上げた。「勝ったと思った。今回は何より自分に勝てたと思う」

 優勝が確定すると「本当に大変だった。四年間のことを考えると。ファンや家族、コーチ、担任の先生。いろいろな方への思いが込み上げてきた」。切れ長の目から涙がこぼれた。

 前回ソチ五輪後は自分との戦いだった。勝利を義務づけられ、「逃げ場もなく、心がつぶれそうになった」と打ち明けたこともある。勝つため、二種類だった4回転ジャンプにループ、ルッツを加えたが「骨の奥まで衝撃がくる」と代償は大きかった。

 最大の危機が昨年十一月の右足関節外側靱帯(じんたい)損傷。「けがばっかりですね」。王者は会見で笑ったが、「それだけフィギュアに勇気を持ってチャレンジした結果」と胸を張った。

 「一番大切な大会」という五輪で最高の物語を自ら紡いだ。「漫画の主人公にしては出来過ぎな設定がいろいろあった。人間としての人生だとしたら(いろいろありすぎて)変だなって思っています」。ヒーローは四年前より重たく感じるメダルを大事そうに手に取った。 (江陵(カンヌン)・原田遼)

中日新聞 東京新聞

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