銀盤、宇野の輝き 小さな体、大きく飛躍

2018年2月17日

男子フリーで演技する宇野昌磨=田中久雄撮影

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 どこか少年のあどけなさも残す20歳が銀盤で輝いた。「最後まで満足した演技ができた」。頂点には届かなかったが、五輪という大舞台での銀メダルは誇らしい。

 八つのジャンプを跳ぶフリーに逆転優勝を懸けていた。予定していた4回転ジャンプは3種類4本。それもフリップやループを入れ、SPの上位3人では最も難易度が高く、基礎点が見込めた。

 鍵はGOE(出来栄え点)にあった。SPでは上位2人が2桁のGOEをマークした一方で、自らはミスはなかったのに計7・42点と伸び悩んだ。「ジャンプの質や完成度が足りない」と差を痛感した。GOEも演技点と同様、選手の過去の実績に左右される側面がある。上位2人と違い、主要タイトルの経験がない宇野にとっては不利とも言える。

 最低限、クリーンな着氷が必要となる中、懸命に難しいジャンプに挑んだ。冒頭の4回転でいきなり転倒。だが、心は折れない。以降はほぼ完璧にまとめた。大舞台で、精神的な強さが光った。

 4年前まではトリプルアクセルも跳べなかった。着氷の衝撃が大きい4回転ジャンプは、練習での本数を抑える選手が多い。だが、宇野は大会中でも40分間の公式練習で多い時には30本以上飛ぶ。激しい練習量が、160センチに満たない小さな体を世界の高みに押し上げた。

 (原田遼)

中日新聞 東京新聞

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