真央ちゃん追って15年 フィギュア・宇野、メダルへ滑走
2018年2月17日
スケートを始めたころの宇野昌磨選手(左)と浅田真央さん=名古屋市で(宇野選手の家族提供) |
フィギュア男子SPの演技を終え、ガッツポーズする宇野昌磨選手=16日、江陵で(潟沼義樹撮影) |
【江陵(カンヌン)=原田遼、安福晋一郎】日本人選手の華麗な滑りが観客と一体になった。平昌(ピョンチャン)五輪のフィギュアスケート男子ショートプログラム(SP)で、羽生結弦選手(23)が首位、宇野昌磨(しょうま)選手(20)が三位につける好発進。十七日のフリーで目指すのはダブル表彰台だ。
珍しくガッツポーズをつくった。SP三位の宇野選手。「完璧でなかったけど、満足している」。先輩から受け継いだ不屈の魂で力をつけ、大舞台で伸び伸びとした演技につなげた。
五歳のとき。名古屋・大須のリンクでスケート教室に参加すると、近くで滑っていた中学生のお姉さんが近づいてきた。「君かわいいね。フィギュアやりなよ」。両親から「浅田真央ちゃん」と教わったその人は、誰より高く跳び、くるくる回転していた。教室の講座を半年ほどで終えると、「真央ちゃんと同じがいい」と両親に伝えた。
山田満知子コーチが率いるグランプリ東海クラブに入団。すでにトップ選手だった浅田さんを追いかけ回した。練習中、ずっと後ろをついていき、ジャンプに合わせて自分も跳んだ。
先輩は目の前で何回も転んだ。すぐ立ち上がり再び挑む。「これだけ頑張らないとフィギュアの選手になれないんだと思い知った」
浅田さんへの憧れが猛練習への基礎となった。思うようにできず、いつも泣きながらジャンプに挑んだ。整氷時間を知らせるアナウンスが流れても一人残った。浅田さんの代名詞だったトリプルアクセルは五年がかりで身に付けた。
山田コーチとともに二人を教えた樋口美穂子コーチは「真央は淡々と跳び続けたけど、昌磨は練習中にグワーと気持ちが出る」と比較し、「二人とも努力を惜しまなかった」と共通点を挙げる。
まだあどけなさの残る二十歳は「フリーもこうやって笑顔で終える一日にしたい」。その先に、「真央ちゃん」も首にかけた輝くメダルが待っている。