羽生、再び天高く ジャンプ8本 力の限り

2018年2月17日

男子フリージャンプを決める羽生結弦=田中久雄撮影

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 男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)首位で男子66年ぶりの2連覇を目指した羽生結弦(ANA)は206・17点をマーク、合計317・85点で2大会連続の金メダルに輝いた。

 同3位の宇野昌磨(トヨタ自動車)は2位となった。SP2位の元世界王者ハビエル・フェルナンデス(スペイン)3位。田中刑事(倉敷芸術科学大大学院)は合計244・83点で18位。

 金博洋(中国)が297・77点で4位。SPで17位と出遅れたネーサン・チェン(米国)が6度の4回転ジャンプを着氷させて215・08点をマークし、合計297・35点となった。 (共同)

 フリーを終えた羽生は顔をゆがめ、腰を折って氷に向かって何かを叫んでいた。完璧な滑りを披露したSPから一転、体力面が心配されていた後半にほころびが生じた。それでも我慢の滑りで演技をまとめ、後を滑ったライバルのフェルナンデスを上回った。

 冒頭の4回転サルコーを皮切りに、前半のジャンプ3本は乱れなく決めた。ところが中盤の4回転トーループで着氷が乱れ、続く連続ジャンプも跳べない。最後の3回転ルッツもバランスを大きく崩したが、手をつくことなく何とかこらえた。

 SPで劇的な復活を果たした世界王者にとって、4分30秒続くフリーは試練の場だった。昨年11月の右足首のけがから氷上練習を再開して1カ月あまりしかたっていない。

 フリーのジャンプは、SPより5本も多い8本。負担の大きい4回転も4本組み込んだ。問題は、けが明けの右足で着氷を繰り返すことによる体力の消耗。ブライアン・オーサーコーチは今月上旬、「問題はスタミナだ。この1週間はスタミナを強化する練習をさせている」と語った。足に無理をかけないよう陸上トレーニングを重視してきた羽生自身も「スタミナには不安がある。氷上は陸上の感覚と違う」と打ち明けていた。

 韓国入り以来、練習中に何度かフリー曲を流したが、所々ジャンプやステップの部分を飛ばし、最後まで通し切ったことはなかった。この日の午前8時25分に始まった練習で曲をかけた際も同様。約5時間後に迎える本番に向け、体力を温存するように規定時間の半分で練習を切り上げた。

 SP以上にぶっつけ本番となるが、金メダルに輝いた4年前の経験が支えになる。「自分がソチでこういう事をしてこういう結果になったというのがあるのは有利」。重圧がのしかかる首位発進の中でも自信を失わなかった。

 一方で王者であることは一度忘れた。SP後、「僕は元オリンピックチャンピオン」と強調。常に過去の自分を乗り越えてきた通り、前だけを向いて攻め続けた。 (江陵・原田遼)

中日新聞 東京新聞

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