田中18位「まだまだ上をめざしていく」

2018年2月17日

男子フリーで演技する田中刑事=田中久雄撮影

写真

 世界の壁の高さを知った。2度の転倒があった演技直後、田中は「練習で成功しても意味がない。五輪で実力を出す難しさを身に染みて感じた」と悔しさをかみしめた。

 開始から二つ続く4回転サルコー。冒頭こそ成功したが、2度目は転倒し、後ろにつけるはずだった2回転トーループにつなげられなかった。

 中盤のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も転倒。体は苦しかったが、必死に笑顔をつくった。コミカルな曲と振り付け。緊張が解けずにいた団体戦を反省し、「顔を崩さないと、かたっくるしいプログラムになってしまう。ジャンプで失敗してもやりきろう」と豊かな表情を意識した。

 演技点は81・14点。自己ベストを出した先月の四大陸選手権の82・30点に及ばず、「もっと楽しく魅了できたらよかった」と力不足を感じた。

 小学生の時、全国の有望選手が集まった長野県での合宿。自分の前で体育座りをしていたのが羽生結弦だった。「人見知りなので、話し掛けてくれて助かった」。羽生は宮城県、自分は岡山県と離れていたが、同学年で話が合い、試合では何度も表彰台を争った。

 いつしか差は開き、ライバルは2014年ソチ五輪で金メダル。「同じ舞台に立ちたい」と、苦手な4回転ジャンプを2種類身に付け、持ち味の表現力も磨き続けた。

 待ち望んだ夢舞台で力は出し切れなかったが、「今まで以上に濃い経験になった」。スケート人生はまだ続く。「いろいろなプログラムに挑戦したいし、4回転の種類も増やしたい。まだまだ上をめざしていきたい」と向上心が高まった。 (江陵・原田遼)

中日新聞 東京新聞

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。

Search | 検索