羽生、五輪連覇の偉業 日本勢金メダル第1号 宇野が「銀」

2018年2月17日

男子フリーの演技を終え、右手を高々と突き上げる羽生結弦=17日、江陵で(田中久雄撮影)

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 【平昌(ピョンチャン)=本社五輪取材団】平昌冬季五輪は第9日の17日、フィギュアスケートの男子フリーが行われ、前日のショートプログラム(SP)で首位に立った羽生結弦(ゆづる)(ANA)が前回ソチ五輪に続いて優勝し、男子では66年ぶりとなる2連覇を達成した。右足首のけがから見事に復活し、今大会の日本勢金メダル第1号を獲得。日本選手では、冬季五輪の個人種目で初の連続優勝となった。

演技を終えた宇野昌磨=17日、江陵で(潟沼義樹撮影)

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 SPで3位につけていた宇野昌磨(しょうま)(トヨタ自動車)も銀メダル。日本勢が1位、2位を独占し、フィギュアでは初めて複数の日本選手が同時に表彰台に立つ。

 ハビエル・フェルナンデス(スペイン)が銅メダル。SPで20位だった田中刑事(けいじ)(倉敷芸術科学大大学院)は18位だった。

◆完璧追求「4年で強くなった」

 最終滑走の宇野昌磨の得点が発表され、2大会連続の金メダルが確定すると、羽生結弦の目から涙があふれ出した。

 右足首のけがの影響を感じさせない気迫あふれる演技だった。陰陽師(おんみょうじ)を題材にした「SEIMEI」の音楽に乗って、冒頭の4回転サルコーを成功させると勢いに乗った。ジャンプで着氷が乱れるなどのミスはあったものの、気迫あふれる演技で世界観を表現。スピンや力強いステップでもソチ五輪王者の貫禄を見せた。

 最後のポーズを決めると、羽生は右手を大きく上に突き上げ、観客の大声援に笑顔を見せた。喜びをあふれさせながら、ひざまずくように故障した右足首を触り、氷に手を触れた。

 ◇ 

 4年前のソチ冬季五輪でフィギュアスケートの日本男子初の快挙を成し遂げた。しかし、金メダルにも悔しさが残った。前回、羽生結弦はショートプログラム(SP)首位で臨んだフリーで、2度転倒するふがいない出来だった。SP1位で発進した今大会で「リベンジしたい」との思いで臨んだフリー。4度の4回転を含む8つのジャンプを全て着氷した。

 「(ソチ五輪の)フリーのミスがここまで4年間頑張って強くなった一つの原因だと思っている」と語る。2位のパトリック・チャン(カナダ)とは4・47点差。宿敵がフリーでミスのない演技をしていたら、逆転された展開だった。平昌へ掲げたテーマは「圧倒的に勝つ」。跳べる4回転ジャンプの種類を増やしただけでなく、演技の基礎となる滑り自体で著しく成長した。

 華やかに跳べて踊れる天性の資質は備えていた。スケーティング担当のトレーシー・ウィルソン・コーチは「滑りが最大の欠点」と改善に着手。体のバランスの取り方や滑るときの膝のリズムをたたき込まれた。スケート靴のエッジ(刃)を研ぐ吉田年伸氏は「スケーティングスキルが上がり、エッジが摩耗する範囲が広がった」と証言する。以前は6割程度しか使えなかったが、今では内外まんべんなく使えるようになった。

 スケート技術や技のつなぎなどの表現力を示す演技点が向上し、この4年間にSPで3度、フリーで3度、合計で2度も世界歴代最高得点を樹立。2016年9月には世界初の4回転ループも成功させた。「打倒羽生」を目指す若手からの重圧を受けながらも、世界のフィギュア界を引っ張ってきた。

 昨夏、拠点とするカナダのトロントで自身の強みを問われると間髪入れずに返した。「何もかも自分が得意だと胸を張れる。全部が自分の武器だと自負している」。16日のSPでは、ジャンプやスピンなどを合計した技術点も、演技点もトップ。右足首故障の窮地を乗り越え、総合力の高さを証明した。 (共同)

中日新聞 東京新聞

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