昌磨、逆転「金」狙える 首位羽生に7.51点差

2018年2月17日

男子SPで3位となった宇野昌磨=江陵で(田中久雄撮影)

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 演技を終えた瞬間、勢いよく右の拳を振り下ろした。宇野にしては珍しい派手なガッツポーズ。「自分の満足いく演技ができたからガッツポーズが出ましたね」。ミスのない演技で得点は自己ベストまであと0・70点に迫る104・17点。納得の高得点で3位発進だ。

 「何が理由か分からないけど、今季の中では一番高ぶりがあった。体が動きすぎているなって。どう抑えようかと思うくらい。平常心で自分のやってきたことを信じて頑張るだけと思っていた」

 間違いなく“羽生効果”だ。気持ちの高ぶりはサブリンクで羽生と一緒になった前日から。この日は羽生の完璧な演技を見届けると「いい演技をして終えられたら」とスイッチが入ったという。そして冒頭の4回転フリップを成功させると、最後のトリプルアクセルは何とか着氷。憧れの羽生と対戦するのは昨年春の世界選手権以来。今回のSPは羽生にトップを譲ったが、充実の表情を浮かべていた。

 心強いサポーターとともに大舞台への準備を進めてきた。昨年夏から宮原知子らを指導する出水慎一トレーナーと契約。大会期間中のトレーニングやケアを依頼してきた。ときにはキャッチボールのようなウオーミングアップでリフレッシュすることも。そんな出水トレーナーからの指示は「お尻を意識して滑ること」。下半身を意識して徐々に成長を遂げてきた。

 「あしたのフリーはショートと同様に満足できる演技がしたい」。12歳だった2010年のバンクーバー五輪で銅メダルを獲得した高橋大輔に心躍らせた少年にとって、メダル獲得は射程圏。そして金メダルまで逆転可能な7・51点差。「自分に勝ちたい」と努力を積み重ねてきた20歳なら、きっと笑顔で終えられる。 (兼田康次)

◆「マジメな話ゼロ」刑事が頼もしい“お兄ちゃん”

得点を確認し笑顔を見せる。右は樋口美穂子コーチ(共同)

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 <番記者ちょっといい話>兄のように慕う平昌五輪代表の存在も、好結果を生んでいる要因かもしれない。昨年12月の全日本選手権、優勝した宇野は3学年上の田中刑事が2位で五輪代表を射止めたことに大喜び。「気を使わなくていいお兄ちゃんという感じ」と、ともに平昌に向かうことに胸を膨らませた。

 田中にとっても宇野は弟のような存在で、ふたりはマジメな話をまったくしないとか。「ゲームの話とか、ユーチューブの話とか。一緒にユーチューブを見ることもあります」と田中。最近の流行はユーチューバーの「東海オンエア」だそうだ。

 田中は宇野について「トリプルアクセルに苦戦している時代を知っているけど、そこからの成長はすごい。僕は昌磨に刺激を受けている。どの選手よりも軽く4回転を跳びますからね」。田中は今回のSPで20位と大苦戦。フリーはふたりそろって笑顔で終わってほしい。 (兼田康次)

中スポ 東京中日スポーツ

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