羽生帰還、SP首位 けがに学んだ118日

2018年2月17日

男子SPの演技を終えた羽生結弦。自らが持つ世界歴代最高得点に迫り首位に立った=16日、江陵で(代表撮影)

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 【平昌(ピョンチャン)=本社五輪取材団】平昌冬季五輪は第八日の十六日、フィギュアスケート男子ショートプログラム(SP)で、右足首故障からの復帰戦となった羽生結弦(ゆづる)(ANA)が、世界歴代最高の自己ベストに迫る111・68点で首位に立った。宇野昌磨(しょうま)(トヨタ自動車)も自己ベストに近い104・17点で三位。十七日のフリーで、羽生は男子で六十六年ぶりの五輪連覇、宇野は五輪初メダルに挑む。

 羽生は4回転を含む全てのジャンプを成功させる圧巻の演技を見せた。初出場の田中刑事(倉敷芸術科学大大学院)は80・05点の二十位。

 フリーの滑走順は、羽生が最終第四組の二十二番で午後一時四十三分ごろ。宇野は最終二十四番滑走となり、午後二時ごろの予定。

 ノルディックスキーのジャンプ男子ラージヒル予選は、ソチ五輪銀メダルの葛西紀明(土屋ホーム)ら四人全員が十七日の本戦出場を決めた。

 カーリングは男子一次リーグでSC軽井沢クの日本がスイスに敗れた。

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 観客の絶叫がこだまする中、二十三歳の羽生は、ほとばしる興奮を抑えるように決めのポーズをとりつづけた。「帰ってきたんだな」。体の中から沸き立つ興奮と会場の熱狂が心地いい。

 二つの4回転を含む三つのジャンプを決めた。昨年十月以来、百十八日ぶりの試合とは思えない驚愕(きょうがく)の演技。自らが持つ世界歴代最高に迫る111・68点を見届けると、人さし指で三度「1」を示した。

 昨年十一月に右足関節外側靱帯(じんたい)を損傷。氷上を離れた期間は二カ月に及んだ。不安に駆られ、ライバルたちの活躍に焦りが増してくる。無念を押し殺し、何ができるかを考えた。

 リハビリの方法や試合当日の調整法など、文献を読みあさる。ジャンプに生かそうと大学の通信講座で運動力学や人間工学を学んだ。「けがをしていなかったら学ぶ機会がなかった。二カ月は無駄だったと思っていない」

 復活だけでは飽き足らない。「二カ月間滑れなかった間も、努力をし続けた。その努力をしっかり結果として出したい」。十七日のフリーで、男子六十六年ぶりの連覇を決め、伝説をつくる。 (江陵・原田遼)

中日新聞 東京新聞

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