羽生復活111.68点 4回転ジャンプ完璧

2018年2月16日

男子SPで演技する羽生結弦=16日、江陵で(潟沼義樹撮影)

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 【平昌(ピョンチャン)=本社五輪取材団】平昌五輪は8日目の16日、フィギュアスケート男子ショートプログラム(SP)で右足首故障からの復帰戦となる羽生結弦(ゆづる)(ANA)が4回転を含む全てのジャンプを成功させ、世界歴代最高の自己ベストに迫る111・68点を記録。前回ソチ大会に続き、男子では66年ぶりとなる五輪連覇に大きく前進した。

 名古屋市出身で昨季世界選手権2位の宇野昌磨(しょうま)(トヨタ自動車)も自己ベストに近い104・17点を記録。残り1人の時点で1位、3位となり、金銀独占に期待が高まった。

 初出場の田中刑事(倉敷芸術科学大大学院)は冒頭の4回転で転倒するも80・05点で17日のフリー進出を決めた。

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 追い求めてきた真の強さを、五輪のリンクで表現した。羽生はSPの冒頭で4回転サルコーをきっちり成功させると、中盤の4回転−3回転も完璧な着氷。けがの影響を全く感じさせない演技を披露し、自信に満ちあふれた表情を見せた。

 金メダルを獲得したソチ五輪で知ったのは、自分の弱さだった。失敗を繰り返したフリー演技直後、「これで金メダルはなくなった」と頭によぎった。その時、演技に集中せず「五輪で勝つことに意識が向かっていた」と悟った。ライバルの失速で日本男子初の快挙が巡ってきたが、「どんな場所でもノーミスで滑れるくらい強くなりたい」と4年後への誓いを立てた。

 完全無欠の王者を目指し、五輪後は2度の世界選手権優勝、グランプリ(GP)ファイナル4連覇を果たした。2015年GPファイナルはSP、フリーとも「ノーミス」で、今もさんぜんと輝く合計330・43点の世界歴代最高得点を樹立した。

 ミスと同じく、現状に甘んじることも嫌った。16年以降に4回転ループ、4回転ルッツを導入し、さらに構成の難易度を高めた。当然、精度は落ちるが、国際大会で勝っても「ノーミスでないと羽生結弦じゃない」と完璧を求め続けた。今季は、右足首を痛める前の9月の国際大会でSPの世界歴代最高を更新する112・72点を記録した。

 絶対の自信があるショパン「バラード第1番」のプログラムで「また勝ちたいという気持ちも含めて滑りたい」と臨んだ五輪SP。4カ月近いブランクをはねのけ、前回王者が最高のスタートを切った。 (江陵・原田遼)

中日新聞 東京新聞

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