羽生、金1号は僕が取る きょう4カ月ぶり復帰戦

2018年2月16日

公式練習後の囲み取材で記者の質問に答える羽生結弦=江陵で(田中久雄撮影)

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 フィギュアスケート男子で66年ぶりの五輪連覇を狙う羽生結弦(23)=ANA=が15日、日本選手団にとって第1号となる金メダル獲得を宣言した。ショートプログラム(SP)を翌日に控えたこの日、江陵アイスアリーナでの練習で、4回転ループをはじめ、4回転ジャンプを連発。右足首のけがから復活して、1948年のサンモリッツ五輪、52年のオスロ五輪を制したディック・バトン(米国)以来の快挙を成し遂げるかもしれない。 

 この男なら本当にやってしまうかもしれない。氷上練習を再開したのが約1カ月前で、実戦は約4カ月ぶり。どう考えても厳しい状況だが、羽生の言葉はどこまでも力強かった。今大会の日本選手団の金メダルは0。前回王者としてプレッシャーや責任を感じるかと聞かれると、よどみなく言い切った。

 「いや、特にないです。(金メダルを)誰が取ろうが、僕も取ります」

 前日はスピードスケート女子1000メートルの小平奈緒やノルディックスキー複合ノーマルヒルの渡部暁斗ら、3人が銀メダルを獲得した。ここまで日本選手団は計7つのメダルを獲得しているが、銀4つ銅3つと金メダルまであと一歩届かない。羽生自身、第1号へのこだわりはないようだが、男子SPの16日は他競技でメダル獲得の可能性は低く、フリーで羽生が金を獲得すれば、金メダル第1号になる確率は高い。

 完全にスイッチが入った。サブリンクでの公式練習、40分で4本しかジャンプを跳ばなかった前日から一変、この日は40分で計19本。さらに4回転ジャンプは10度挑戦して、8度成功した。その中には韓国入りしてから披露していなかった4回転ループも1度成功させた。演技構成について13日は「たくさんの選択肢がある」と明言を避けていたが、この日はループを組み込む可能性について聞かれると「はい」と即答した。これで4回転はループ、サルコー、トーループの3種類を組み込む可能性が出てきた。

 「本当に順調に計画通りできていると思うし、自分のことに集中している。リラックスしながらできているので、非常にいいなと思われます」

 練習中はともにカナダ・トロントで練習するハビエル・フェルナンデス(スペイン)とシンクロする動きを披露したり、途中で他選手に拍手をするなど、心から楽しんでいるようす。前日までには団体戦に出場した宮原知子に「いい演技だったね」と声をかけるなど、焦りや不安などはまったく感じさせない。

 不安材料といえば、やはりスタミナか。韓国入りしてから曲をかけた練習で1度もすべてのジャンプを跳んでいない。しかもSPとフリーは連日の演技となる。16日の滑走時間は午後1時48分。金メダルを獲得したソチ五輪のSPと同じで「大好き」という1番滑走から奇跡の幕が開く。 (兼田康次)

◆夜の練習参加せず

 午後9時からあった本番リンクでの公式練習に羽生は不参加。翌日の直前練習が午前8時35分開始とあって自重したようだ。一目見ようと入場料を払って訪れたファンは肩透かしとなった。自由席とあって開場前から並んでいたファンは「残念です」と肩を落として帰路についた。

中スポ 東京中日スポーツ

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