小平奈緒「実力は出し切れた」 500mは絶対「金」

2018年2月15日

女子1000メートルで銀メダルを獲得し日の丸を背にリンクを回る小平奈緒=江陵で(田中久雄撮影)

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 スピードスケートは14日、江陵オーバルで行われ、女子1000メートルで世界記録保持者の小平奈緒(31)=相沢病院=が1分13秒82で銀メダル、高木美帆(23)=日体大助手=は1分13秒98で銅メダルを獲得した。冬季・夏季五輪の個人種目で、日本女子2選手が同時に表彰台に立つのは初めて。ヨリン・テルモルス(オランダ)が1分13秒56の五輪新記録で優勝した。18日の500メートルは、小平が国内外のレースで昨季から24連勝中で、あらためて金メダルに挑む。 

 晴れやかな表情ではあった。「きょうは順位やメダルよりも、氷としっかり対話して、自分の好きなようにこの氷を味わおうと思っていた。実力は出し切れた」。1000メートル世界記録保持者の小平に悔いはない。だが、金メダル第1号は0秒26差でスルリ。そして日本スケート陣にとっては、またしてもオランダの壁が立ちはだかった。

 「五輪は強い人が強いんだなと、どの競技を見ても感じていた。1000メートルは世界記録は出したけど、私は完全に強いんだろうかと信じ切れていない部分があった。そのへんが結果として出た」

 スタート直後の距離が短いことで、不利といわれるアウトコース。「インコースなら加速していけるけど。まだスケーティングが下手」。順調にラップを刻んだが、先に滑ったショートトラックとの二刀流選手でソチ五輪1500メートル金のテルモルスには届かなかった。12日の1500メートルでオランダ選手に敗れて銀だった高木美との表彰台は離れ離れ。「高いところから並びたかったね」と声をかけ、ちょっとだけ悔しさをにじませた。

 立ちはだかったのもオランダなら、スケート人生を変えてくれたのもオランダだ。マリアンヌ・ティメル。ソチ五輪後のオランダ留学、所属チームにいた長野五輪女子2冠のこのコーチから「怒った猫のように両肩を上げなさい」と言われ、上半身を立てることで骨盤が前に出るフォームに改造した。もう一つ、帝王学をたたき込まれた。

 「なぜあなたはお辞儀ばかりするの? もっと堂々と勝者のように振る舞いなさい」。威張れ、ではない。スケートに真摯(しんし)で堂々と。乳製品アレルギーにもなったオランダ留学はメリットばかりだったわけじゃない。だが、女王の流儀を授かった日本の女王は確実に成長して五輪の舞台に立っていた。

 「よくやったけど、相手が一枚上だった。1000メートルで3位以内が500メートルで金を取る方程式と考えている。及第点だった」と指導する結城匡啓コーチ(52)。次なる舞台はW杯15連勝中の500メートル。今度こそ、世界の女王としての強さを見せつける。 (兼田康次)

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