日本浮上の鍵は吉永 闘争心、韓国で学ぶ

2018年2月14日

ショートトラック男子1000メートル予選 ゴール後、電光掲示板を見る吉永一貴選手=13日、江陵で(田中久雄撮影)

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 かつて世界のトップクラスだった日本のスピードスケート・ショートトラックの復活を目指し、十八歳のエース吉永一貴選手(愛知県尾張旭市出身、名経大市邨高)が滑った。韓国でも練習してきた日本のエースは十三日、期待された5000メートルリレーで決勝進出を逃したが、1000メートルでは予選を突破、メダルに一歩近づいた。

 「外国選手に日本選手は楽だと思われてる。そう思われたくない」。国際大会で活躍し始めたころ、母美佳さんに打ち明けた。

 世界ジュニア選手権に初出場した二〇一五年、スタート直後から他選手に置いていかれて「何もさせてもらえなかった」。その悔しさが闘争心に火を付けた。

 一九九〇年代に活躍した元世界王者の寺尾悟さん(愛知県豊田市出身、現トヨタ自動車監督)や長野五輪金メダリストの西谷岳文さんらにあこがれた。二人の動画を見て、心構えを聞くことで、かつての日本の強さを感じてきた。

 日本勢は長野五輪以降、メダルが遠ざかった。今は韓国を筆頭に中国やカナダが強豪国の座を占める。「学ぶことがある」と韓国への武者修行を決意し、今春から韓国チームの練習に参加する。

 毎日の練習が白熱することに驚いた。ウオームアップから闘争心むき出しで、試合並みの抜き合いになることも珍しくない。「心構えが違う」と感じた。

 平昌五輪にはジュニアの大会以来、切磋琢磨(せっさたくま)してきた同じ十八歳の韓国のファン・デホン選手も出場。この日の1000メートルでは別の組で一着だった。「いい刺激だし、負けたくない」とライバル心を隠さない。吉永選手は1000メートルで一着の韓国選手と競り合って二着。「この先厳しい戦いになる。百パーセント出せるよう準備したい」と気を引き締めた。

 (江陵(カンヌン)・安福晋一郎)

中日新聞 東京新聞

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