高木美、ソチ落選の「百倍返し」

2018年2月13日

 【平昌=本社五輪取材団】平昌冬季五輪は第4日の12日、スピードスケート女子1500メートルで高木美帆(日体大助手)が銀メダルを獲得した。スピードスケートの女子の個人種目では初の銀。

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 リンクの裏の廊下で泣いていた。2013年12月29日、ソチ五輪の代表選考会最終日。発表メンバーに高木美帆(23)=日体大助手=の名前はなかった。「同じことをやっていれば大丈夫かな」との淡い期待を打ち砕かれた。それから4年余りでスピードスケート女子中長距離のエースに育ち、1500メートルで見事に銀メダルに輝いた。

 レースでは集中した表情で飛び出すと、着実に一蹴り一蹴り進んでゴール。観客席へ手を振り、ヨハン・デビット・コーチに声をかけられると涙がこぼれた。

 感情をあらわにするタイプではない。ただ、五輪代表落選には、こらえ切れなかった。北海道・帯広南商高時代の恩師、東出俊一さんが「初めて見た」という涙だった。「美帆、これを倍返しにも、百倍返しにもしないと駄目だぞ」と肩を抱かれ、真っ赤に腫らした目を見開いて誓った。「絶対にそうします」

 当時は日体大の1年生。「五輪で活躍するため、一から挑戦する」。オランダから招いたデビット・コーチの厳しい練習に食らいついた。

 「あれほどの敗北感を味わっていなければ今ここまで強い気持ちにはなれていなかった」。挫折をばねに、大舞台でメダルをつかみ取った。 (共同)

中日新聞 東京新聞

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