高木美、日本初メダルへ先陣 今夜3000m「流れ引き込む」

2018年2月10日

本番のリンクで調整する高木美帆=6日(田中久雄撮影)

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 10日夜の女子3000メートルから競技が始まり、メダル量産を狙う日本は中長距離のエース高木美帆(日体大助手)が先陣を切る。得意とするのは1500メートルだが、今季はこの種目でもワールドカップ(W杯)第3戦(カルガリー)で初勝利。今大会、全競技通じて日本勢初のメダルが懸かる。

 落ち着いた物言いが頼もしい。「五輪を特別視することなくできている。やっと出られたとか、8年ぶりだとか、そういう思いはない」と冷静に最終調整を進めてきた。

 中学3年で代表を射止めたバンクーバー五輪から8年。屈辱の代表落ちを味わったソチ五輪から4年。23歳になった天才少女は世界的スターのイレイン・ブスト(オランダ)らと並び優勝候補の一角に名を連ねる。高揚感に浸っている暇はない。

 5日の会場初練習ですぐに課題を見つけた。「氷の感触がしっくりこない。ラップとフィーリングがマッチしていない」と首をひねった。長距離の戦略で鍵になるのが一周400メートルのラップタイム設定。会場の氷にブレード(刃)が食い込みにくいせいか、自身の感覚と実際のタイムに狂いが生じている。

 ヨハン・デビットコーチからは「お尻があがって、蹴る位置が遠くなっている」と指摘された。歩幅では欧米勢に劣る高木美にとって、重心のコントロールは生命線。「今の状態を把握して対応していきたい」と修正を重ねてきた。

 母国の期待は自覚している。「個人的にはメダルを取って日本選手団に流れを引き込みたい。でも甘いものではないので、雑念を捨てて、自分と向き合いたい」。集中を研ぎ澄まし、精密機械のような高速ラップを刻んだ先に快挙は見えてくる。

  (原田遼)

中日新聞 東京新聞

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