菊池3姉妹、決意の初レース 長野・南相木村出身

2018年2月10日

リンクの感触を確かめる次女の菊池彩花選手=6日、江陵で(田中久雄撮影)

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練習中、言葉を交わす三女の悠希選手(右)と五女の純礼選手=4日、江陵で(田中久雄撮影)

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 【平昌=原田遼】平昌冬季五輪で長野県南相木村出身の菊池三姉妹が十日、そろって初レースを迎える。スピードスケートの次女彩花選手(30)=富士急=と、ショートトラックの三女悠希(ゆうき)選手(27)=ANA、五女純礼(すみれ)選手(22)=トヨタ自動車=は三者三様の道を歩んで平昌に来た。

 四日の出国直前、成田空港で朝食をとっていた三人のスマートフォンが一斉に鳴った。母初恵さん(55)から「思い切りいけ」のメッセージと、日の出の写真が送られてきた。「謎の写真」と笑い合いながら、応援にくる予定の母に「待っています」と送り返した。

 初恵さんや長女の真里亜さん(32)も元スケート選手で、四女萌水(もえみ)選手(25)はソチ五輪代表というスケート一家だ。

 彩花選手は、今は美容師として働く真里亜さんを追って競技を始め、一七〇センチの長身を生かした滑りで二〇一四年ソチ五輪に出場した。

 悠希選手は「姉と比べられたくない」とショートトラックの道に。だが太りやすい体質やけがで伸び悩み、ソチ五輪代表に選ばれたのは自分より遅く同じ競技を始めた萌水選手だった。「こんな運命か」と奮い立ち、小学生がやる片足屈伸の基礎練習からやり直した。

 末っ子の純礼選手も姉と比較され「昔はずっと競技をやめたかった」。初恵さんに叱咤(しった)されながら続け、負けん気の強さを生かした「粘りの滑り」で地道に力をつけた。

 ソチ五輪に挑んだ彩花選手は1500メートルで三十一位、萌水選手は出番なし。テレビでレースを見ていた純礼選手は「彩花が同走者に引き離されて画面から消えた。悲しくなった」と思い出す。

 彩花選手はソチ後「もがきながらやってきた」。練習中に右脚を二十センチ切る大けがで昨季を棒に振ったが、リハビリを通じて体幹をきたえた。復帰した今季は滑りの軸が定まり、ワールドカップ(W杯)で最高五位に食い込んだ。悠希、純礼の両選手も、共に戦う3000メートルリレーの戦術を深夜まで話し合い、今季はW杯で最高四位。「代表に入れなかった萌水の分も」と胸に秘める。

 「三人での目標はない。それぞれの場所で頑張る」と彩花選手。悔しさを糧に色とりどりの花を平昌で咲かせる。

中日新聞 東京新聞

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