昌磨、いいネ自然体 団体男子SPトップ103.25点

2018年2月10日

団体男子SPで演技する宇野昌磨=江陵で(田中久雄撮影)

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 団体戦の男子ショートプログラム(SP)とペアSPが9日、江陵アイスアリーナで行われ、宇野昌磨(20)=トヨタ自動車、中京大=が2位と大差をつける103・25点の1位で10点を獲得した。ペアの須崎海羽(みう、18)、木原龍一(25)組(木下ク)は自己ベストを更新する57・42点の8位で3点。初日を終えて13点の日本はメダル圏内の3位と好発進した。首位はカナダ、2位は米国。

 どこまでも自然体だった宇野にとって、五輪にすんでいる魔物とは無縁だった。有力選手が信じられないミスを連発する中、大トリで出場すると圧巻の演技を披露。完璧ではなかったが、自己ベストに1・62点差に迫る103・25点。得点が表示されると両手をたたいて喜びを表現した。

 「五輪だから特別な緊張感が湧き出てくるのかなと思ったけど、特にそういった感情はなく、最後まで自分の演技ができた。全日本(選手権)の方が緊張しましたね」

 個人戦でのライバルでもあるチェン(米国)がすべてのジャンプで失敗して80・61点、直前のコリャダ(OAR)はもっとひどかった。それを見ていた宇野は「あれだけたくさんの失敗を見たのは初めて。緊張感や朝早いからとか、特別なものがあるのかな。自分も失敗するのかな」と思ったという。だが、そんな心配は無用だった。冒頭の4回転フリップこそバランスを崩して左手をついたが、何とか転倒を免れるとその後のジャンプは成功。フィニッシュポーズもよろけたが、最後まで崩れなかった。

 努力の勝利と言っていい。試合は慣れない午前10時開始で直前練習は午前7時。朝が苦手な20歳は午前5時に起きるも2度寝、3度寝を繰り返し、アップもせずにリンクに現れたという。「無理に何かをしようとするんじゃなく、寝たかったら寝ようと思って過ごした」。そして、たどり着いた結論が「何も考えずに練習でやってきたことを信じてやろう」。眠い目をこすりながら、猛練習で染み込ませた体が勝手に動いていた。

 2位と14・76点差の大差ながら、団体戦では1位が10点、2位が9点に換算されるのは何とももったいないが、大事な初戦の役割を果たしてチームジャパンに好発進をもたらした。次なるターゲットは16日午前10時から始まる個人の男子SP。「団体と個人戦はまったく別物。僕も一歩間違えれば、たくさんのミスをしてしまう。たまたまうまくいっただけ」。慢心のない昌磨は、どうやら五輪の女神に愛されている。 (兼田康次)

◆16日、個人戦へ「いい準備」

 ▽小林芳子監督(日本スケート連盟フィギュア強化部長)「五輪はやはり何かあるのかなと思うくらい(他チームの)若い選手はバタバタしていた。宇野選手もそうなってもいいかと思ったけど、まとめて100点を超えたのは収穫。これで個人戦に向けていい準備ができると思う。ペアは最大限の力を出した」

中スポ 東京中日スポーツ

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