小平、いきなり五輪新の衝撃 「すごいタイムじゃない」

2018年2月8日

女子500メートルタイムトライアルで37秒05をマークした小平奈緒。左は郷亜里砂=江陵で(田中久雄撮影)

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 スピードスケートの記録会が7日、本番会場の江陵オーバルで行われ、金メダルの期待が懸かる女子エースの小平奈緒(31)=相沢病院=は、参考記録ながら500メートルで37秒05をマークし、低地リンクでの自己ベストタイムをたたき出した。五輪2連覇中のライバル、李相花(イ・サンファ)=韓国=がソチ五輪で出した37秒28のオリンピックレコードを上回るタイムにも「すごいタイムじゃない」と話し、さらなる伸びしろへ自信をのぞかせた。

 女王は自分だと証明するかのように、軽やかにリンクを駆け抜けた。小平は本番会場で行われたトライアルで参考記録ながら低地での自己ベストを更新する37秒05をマーク。最大のライバル李相花は出場していないが、彼女の持つ五輪レコードも更新する好タイムで、13選手中ぶっちぎりのトップタイムだった。

 それでも小平は驚くほどあっさりした表情で「すごいタイムではない」と言う。掲示板に表示された「OR(オリンピックレコード)」の文字を見ても、数字を見ても、興奮はない。

 「まだ修正点はある。号砲が鳴れば全力だけど、振り返ると(レース中)冷静にいろいろ考えていた。練習で出しているラップから計算すると、自分の実力以上は出ていない。裏を返せば、今の疲れ具合で実力通りの滑りができた」。はたから見たら驚異の滑りも、あくまで想定内の結果だ。

 昨年末の代表選考会後は、陸上トレーニングに励んだ夏のレベルまで筋力を戻すために追い込んだ。疲労が完全に抜けきっていない中のレースで、昨季同リンクで行われた世界距離別選手権の37秒13をも上回った。この事実は、かなり明るい材料だ。「キレが足りなかったので、しっかり休めればもっと(タイムは)出てくる」と、向上の余地はさらに残されているとした。

 「勝たなくてはいけないとは思ってない。ベストタイムを出せれば」と小平。日本が誇る「絶対女王」はさらに速くなって五輪へと向かう。 (國島紗希)

<低地と高地の違いは?> スピードスケートは一般的に高地の方が、空気抵抗が少なくなり、好タイムが出やすい。各種目の世界記録は標高約1400メートルのソルトレークシティー(米国)と同1000メートルのカルガリー(カナダ)で生まれている。対して小平がこの日滑った江陵は、標高40メートルの低地。仮に気温や湿度などが同じ条件であったとすると、ソルトレークシティーに比べて、江陵は約1.2倍の空気抵抗を受けることになる。江陵がソルトレークシティーなみの高地なら36秒台が出ていたかもしれない好タイムだった。

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中スポ 東京中日スポーツ

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