新田佳、執念の「金」返り咲き 逆転劇「37歳はまだ若い」

2018年3月18日

スキー距離男子10キロクラシカル立位で、金メダルを手に笑顔の新田佳浩=17日、韓国・平昌で(共同)

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◆日本メダル9個、ソチ上回る

 【平昌(ピョンチャン)=共同】第12回冬季パラリンピック平昌大会は18日午後8時(日本時間同)から韓国北東部の平昌五輪スタジアムで閉会式が行われ、障害者アスリートによる10日間の熱戦が幕を下ろす。17日はノルディックスキー距離男子の新田佳浩(よしひろ)(37)=日立ソリューションズ=が男子10キロクラシカル立位で金メダルを獲得。同日までに日本選手団は前回ソチ大会の6個を上回る9個のメダルを獲得し、目標を達成した。

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スキー距離男子10キロクラシカル立位で金メダルを獲得し、セレモニーでガッツポーズする新田佳浩選手=17日、平昌で(共同)

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 あきらめない気持ちが、歓喜の頂点へと導いた。平昌冬季パラリンピックのノルディックスキー距離男子(10キロクラシカル立位)で、8年ぶりの金メダルに輝いた新田佳浩選手(37)。ラスト1周で3位から逆転する渾身(こんしん)の滑りに、6大会連続出場の「レジェンド」は「力を出し切れば結果はついてくる」と感極まった。 

 スタート直後に転倒。「まだ10キロもある」とベテランらしく落ち着いた。6・6キロ地点でトップと約12秒差の3位にも自分のペースを維持。前の選手に疲れが見え始めた終盤、残る力を振り絞り、最後は勢いよく左足を出した。2位に9秒近い差をつける、驚異的な逆転劇だった。

 2010年バンクーバー大会の2冠王者も、前回ソチではメダルなし。「4年間、パラリンピックのために過ごしてきた」と強い思いで臨んだ平昌。14日のスプリント・クラシカルの銀に続く栄光の裏には、才能と努力に加え、年齢に応じて滑り方を変える、したたかな戦略があった。

 以前は「メダルを取りたい」と序盤で飛ばしすぎ、終盤に力尽きることもあった。ソチ後、距離の日本代表ヘッドコーチに就いた元五輪選手の長浜一年さん(48)と年間200日以上を共にし、30代半ばとなった自分に合う滑りを研究。序盤はペースを保ってチャンスを待ち、終盤で一気に仕掛けるスタイルに変身した。

 「37歳はまだ若い。エネルギッシュな力さえあれば何とかなると感じた」。レース後に語ったとおり、自身の可能性を見事に証明してみせ、「生きた化石になる」と現役続行に意欲を示した。

 今大会では川除大輝(かわよけたいき)(17)、星沢克(18)両選手がパラリンピック初出場を果たした。ともに、バンクーバーでの新田選手の活躍を見てパラリンピックを目指すようになった若手のホープだ。「今回の金メダルを見て、新たにスキーを始める人が増えてほしい」。レジェンドの願いは、確かに届いている。 (田井勇輝)

<新田佳浩(にった・よしひろ、日立ソリューションズ=ノルディックスキー距離男子10キロクラシカル立位)> 1998年長野大会から6大会連続の出場で、今大会のスプリント・クラシカルで銀メダル。2010年バンクーバー大会では距離2冠に輝いた。岡山・林野高、筑波大出。177センチ、68キロ。37歳。岡山県出身。 (共同)

中日新聞 東京新聞

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