選手の安心支える 日本人技師ら義足など無償修理

2018年3月17日

選手が日常で使う義足を修理する高橋さん(左)ら技術者たち=15日、韓国・平昌の選手村で(神谷円香撮影)

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 平昌パラリンピックの選手村や競技場で、義足や車いすの世界的メーカーが選手の道具を無償で修理している。選手が競技に集中できるよう世界各国から技術者が集まり、日本からも2人が参加している。

 30年前の1988年ソウル大会で、ドイツに本社がある「オットーボック」の義肢装具士4人が、選手のニーズを知り修理をしたのが始まりだった。徐々に規模が拡大し、2016年リオデジャネイロ大会では100人の技術者が2400件の修理を担当した。

 平昌では選手村と3カ所の競技場に修理センターを開設する。チェアスキーで足をカバーするカウルが競技中に割れたトラブルにも、持てる技術を応用して修復。これまでに400件近く依頼があった。

 ただ「競技で使う用具より、日常で使う道具の修理が実は多い」と、リオ大会に続き参加するオットーボック・ジャパン(東京)の義肢装具士高橋俊潤さん(56)は話す。車いすのタイヤのパンクや回転の不具合といった「日々の困り事」の依頼が多く、義足などを新たに作れる装置や資材も用意しているが、あまり使わない。

 4度目の参加となる同社の中島浩貴さん(43)は、9日の開会式で旗手を務めた選手の車いすに、旗を固定するホルダーを付ける作業も担当した。長さ3メートルある旗を真っすぐに、動いても倒れないように取り付けるのは技術が要る。「私たちが提供するのは安心感。直すのも大事だが、これで大丈夫、と言うのも大切」と語る。 (平昌・神谷円香)

中日新聞 東京新聞

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