スノボ「金」の成田 次は20年東京に挑戦

2018年3月17日

平昌冬季パラリンピックのスノーボード男子バンクドスラローム下肢障害で獲得した金メダルを手に笑顔の成田緑夢=16日、韓国・平昌で(共同)

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 【平昌(ピョンチャン)=共同】平昌冬季パラリンピック第8日の16日、今大会から新たに独立した競技として加わったスノーボードの男子バンクドスラローム下肢障害で成田緑夢(ぐりむ)(24)=近畿医療専門学校=が優勝し、この種目の初代王者に輝いた。自身初の金メダルで、スノーボードクロスの「銅」に続き、2度目の表彰台に立った。 

 成田は1回目で50秒17をマークし、2位と0秒28差でトップに立つと、2回目で49秒61、3回目で48秒68とタイムを縮めて、後続を振り切った。

 今大会の日本選手団のメダルは8個となり、金はアルペンスキー女子大回転座位の村岡桃佳(21)=早稲田大=に続く2個目。4大会連続で複数の金を獲得した。

 成田はワールドカップ(W杯)年間総合王者で、2006年トリノ五輪スノーボードのハーフパイプに出場した成田童夢、今井メロの弟。

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男子バンクドスラローム下肢障害で金メダルを獲得した成田緑夢選手の3回目の滑走=平昌で(共同)

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 アスリートが人に与える力を信じている。平昌パラリンピックのスノーボード男子バンクドスラローム下肢障害で金メダルに輝いた成田緑夢(ぐりむ)選手(24)。滑るたびにタイムを更新する圧巻の速さで魅了し、頂点へ。「人をわくわくさせ、夢や感動、希望と勇気を与えるアスリートに」。理想とする姿へと、大きく近づいた。 

 「挑戦」。今大会で自身に課した目標だ。12日のスノーボードクロスは準決勝で転倒したものの、3位決定戦では積極的な滑りで銅メダル。16日も攻めの姿勢を貫き、3回の滑走の1回目でトップに立つと、リスクを恐れずボードに立つ位置やコース取りを変え、トップを守り続けた。「すべてにおいて挑戦し、優勝できたので最高の気分」。笑顔がはじけた。

 スノーボードの元五輪選手の兄、姉とともに「五輪一家」で育ったが、練習中に大けがを負い、一時は失意に沈んだ。「楽しもう」と出場した健常者のウエークボード大会で優勝し、「けがをしても頑張る姿に勇気をもらった」との言葉を聞き、アスリートの持つ影響力の大きさを知った。

 「五輪とパラリンピック両方に出たら、もっと強い影響を与えられる」。3年ほど前から始めた「自分への誓約書」は200枚に。「二刀流」の先輩、山本篤選手(35)の誘いで始めた陸上の走り高跳びでも、当初の誓約として課した「1メートル70」を達成。昨年6月の日本パラ陸上では、出場したクラスで2位になった。

 2020年東京大会では、どんな夢の続きを見せてくれるのか。「今の一歩に全力で、がモットー。東京のことはまだ秘密」。次の挑戦が楽しみだ。(神谷円香)

 <成田 緑夢>(なりた・ぐりむ、近畿医療専門学校=スノーボード男子バンクドスラローム下肢障害)今大会のスノーボードクロスで銅メダル。今季のワールドカップ(W杯)では年間総合王者に輝いた。173センチ、65キロ。24歳。大阪府出身。 (共同)

中日新聞 東京新聞

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