チェアスキー村岡「金・銀・銅・銅」 日本の技術が躍進に力

2018年3月16日

金メダルを獲得した村岡桃佳選手の女子大回転座位1回目の滑走=14日、平昌で(共同)

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 平昌(ピョンチャン)冬季パラリンピックのアルペンスキー女子大回転座位を制し、これまでに出場した全四種目でメダルを取った村岡桃佳選手(21)。躍進の陰には、安定した滑りを支えるチェアスキーを製作した日本の技術力があった。 (加藤行平、平昌・上野実輝彦)

 十四日の大回転で優勝を決めた後、村岡選手は「サポートしてくれている方、チームのおかげでこの場にいる」と感謝を口にした。

 チームの一端を担うのは、チェアスキーを作った技術陣だ。衝撃を抑えるショックアブソーバー(油圧緩衝器)はKYB(ケイワイビー)(東京)の岐阜北工場(岐阜県可児(かに)市)が担当。シートはRDS(アールディエス)(埼玉県寄居(よりい)町)、シートを支える金属フレームは日進医療器(愛知県北名古屋市)がそれぞれ製作した。

 KYBは一九九八年の長野大会から、航空機の脚部緩衝器を応用した製品を提供してきた。だが前回のソチ大会では選手の要望に応えられず、スウェーデン製が採用された。

 技術者らは「平昌は日本製で」を合言葉に新モデルを開発。石原亘(わたる)さん(33)は「高さが合わなかったり、選手から『今までと違う』と言われたりして、何度も作り直した」と振り返る。

 試行錯誤の末に完成したチェアスキーに乗る村岡選手の活躍が続く今大会。現地で微調整にあたる石原さんは「報われた。日本の技術を合わせれば、金メダルに届くという自信になった」と手応えを語る。日進医療器の担当者もチームに帯同して滑りを見守る。

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 RDSは二年前からデジタル技術を駆使して体形を読み取り、安定して座れるシートを開発。数グラム単位で軽量化に取り組んだ。

 RDS専務の杉原行里(あんり)さん(35)には、十三日に銅メダルを取った村岡選手から「悔しい。明日こそやります」とメールが届いた。翌日の大回転では宣言通りの金メダル。杉原さんは「エンジニアたちは大泣きして喜んでいます」と話し、十八日の回転で村岡選手の有終の美に期待を込めた。

中日新聞 東京新聞

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