狩野選手と交流、エール 上田・菅平高原のリフトマン・大久保さん

2018年3月16日

狩野選手との交流について語る大久保さん=上田市で

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 平昌(ピョンチャン)パラリンピックで、上田市の菅平高原パインビークスキー場のリフトマン大久保幸子さん(67)=同市真田町=は、アルペンスキー代表で長野市の狩野亮選手(32)=マルハン=の活躍を祈っている。ゲレンデで交流を続け、努力し続ける姿を見守ってきた。金メダルが期待された今大会で苦戦が続くが、「最後まで精いっぱいの滑りをしてほしい」と願う。

 難コースを華麗に滑り降りていった。二〇一〇年のバンクーバー大会前、代表チームの練習拠点だった同スキー場で、大久保さんは「健常者の一流選手と変わらない。ハンディを乗り越えるため、すごい努力をしたはず」と狩野選手らに感動した。

 練習中は厳しい表情を崩さない選手も、休憩中は大久保さんたちと笑顔を交えて雑談した。「もっと力になれないかな」。親しみを感じ、選手らがカナダに出発する前、手作りのカツサンドやあんこパンを差し入れた。バンクーバー大会のスーパー大回転で狩野選手は金メダルを獲得。インタビューで「カツサンドが力になった」と答えたと聞き、うれしかった。

 狩野選手の記事をスクラップしたり、寄せ書きを渡したりするようになった。北海道出身の狩野選手が長野市で式典に出席する際、狩野選手から「両親は遠くにいるから」と頼まれ、母親代わりで同席した。交流はほとんどスキー場だけだが、大久保さんは「息子のように感じている」と目を細める。

 今大会、狩野選手は滑降の連覇とスーパー大回転の三連覇を逃し、苦しい戦いが続く。大久保さんは「残念だけど、世界のレベルが上がった。簡単には勝たせてくれない」と見守る。大会後、スキー場で再会する機会があったら、手作りパンでねぎらうつもりだ。

 (渡辺陽太郎)

中日新聞 東京新聞

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