米スノボ選手、パラリンピアン愛用の義足開発 自らも金「力もらった」

2018年3月15日

旌善(チョンソン)のスノーボード会場で12日、取材に応じるシュルツ選手=上野実輝彦撮影

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 【平昌(ピョンチャン)=上野実輝彦】平昌冬季パラリンピックの男子スノーボードクロスで金メダルを獲得した米国のマイク・シュルツ選手(36)は、アスリートと義足開発者の2つの顔を持つ。今大会のスノーボードでは、6カ国の20人以上がシュルツ選手の義足を採用。彼らの活躍が自身の力になるといい、「より多くの競技に役立つ義足を作っていきたい」と語る。選手としては16日のバンクドスラロームで、再び表彰台を目指す。

 2人ずつ競走して勝ち上がっていく12日のレースでは、決勝で昨年の世界選手権覇者を破り念願の頂点に立った。「僕がスノーボードを始めたのは、自分で開発している器具を発展させるため。素晴らしい結果になった」と喜んだ。

 スノーモービルのプロだったシュルツ選手は2008年12月、レース中に転倒して左足を失った。数カ月後、義足を着けて歩くまでになったが、再びスポーツを始めるには既存の義足では物足りなかった。

 以前からオートバイなどの修理を得意としており、自らスポーツに適した義足を開発してレースに復帰。研究の過程でスノーボードの世界にも飛び込んだ。10年には会社を設立し「可動域の広さや衝撃の吸収力が長所」と自任する義足を作り上げた。

 今大会では日本代表の小栗大地選手もシュルツ選手の義足を採用。最も多くの利用者がいる米国では、メダリストを多く生んでいる。高性能な義足は他選手を利することにもなるが「僕の義足を使って失ったものを取り戻し、何かを手に入れた人を見るのは感慨深いし、僕の力にもなる」と考えている。

 開会式で米国代表の旗手も務めたことを含めて「全てがうまくいっている。信じられない」と喜び、今後の夢を「スキーなど別のスポーツに使える器具を開発して、新たなページを開きたい」と語る。

中日新聞 東京新聞

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