先駆者の意地、巻き返しへ アルペン座位・狩野選手

2018年3月13日

「アルペン界やパラスポーツ界を切り開くため、結果を出したい」と語る狩野選手=上田市で

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 平昌(ピョンチャン)パラリンピックでアルペンスキー男子座位に出場中の長野市の狩野亮選手(31)=マルハン=は、金メダルが期待された滑降の連覇とスーパー大回転の3連覇を逃した。「平昌はもう一度、自分の強さが試される大会。アルペン界やパラスポーツ界を切り開くため、結果を出したい」と臨んだ4回目のパラ。残る複合と回転、大回転で巻き返しを図る。

 きつい練習をこなしても、どこか気持ちが乗らなかった。二〇一〇年バンクーバー大会のスーパー大回転で金メダルを獲得後、競技への意欲が高まらず「何とか現状を維持しただけの、苦しい時代だった」と振り返る。

 ソチ大会の一年前、本番と同じコースの滑降で二回連続で転倒した。「これでは本番でどうしようもない姿を見せてしまう」。ふわついた気持ちを切り替えるきっかけとなり、ソチ大会は滑降で金、スーパー大回転で連覇を決めた。獲得したメダルは通算で金三個、銅一個になった。

 日常生活も背骨を意識して伸ばして、姿勢を整えるよう見直した。二年前からは国立スポーツ科学センターが障害者選手にも開放され、筋力トレーニングなどの成果をセンターの機器で確認しながら取り組んだ。「以前は独学で自分を追い込む手法だったが(健常者スポーツで培った)センターのノウハウに触れられ、客観的な数値で把握できるようになったのは大きかった」と語る。

 一九九八年の長野大会を観戦したのが競技を始めたきっかけ。当時と比べ、支援が広がり障害者スポーツの環境は大きく改善したと思うが、健常者と比べると、まだまだ発展途上だと思う。

 「次の世代、その後でもいい。アスリートとして価値のある世界をつくるため、パラアスリートでもスター選手が生まれるような土台づくりをしたい」。子どもが憧れるような滑りを見せ、障害者スポーツへの注目度を高めたいと思っている。

 (渡辺陽太郎)

中日新聞 東京新聞

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